近頃では登山でもキャンプでもUL(ウルトラライト)化が進んでいるように感じる。登山では必要な荷を全て背負うため、軽量化の文化は以前からあった。ここ数年はULの関心が高まっている状況もあり、キャンプでもより装備を軽く、身軽に行動している人も少なくない。

 大手のアウトドアブランドがULギアを発売していることからもULへの興味関心が高いことが分かる。今日は老舗アウトドアブランドである「エバニュー」のULギアを3つ紹介したい。

■創業99年、老舗アウトドアブランド「エバニュー」

 登山やキャンプをする人であれば、その名前を知っている人は多いだろう。エバニューは日本の企業で、金属加工を得意とするブランドだ。「クッカー」や「調理器具」、「背負子」など幅広い製品を製造・販売しているブランドである。

 アウトドア用品だけでなく、跳び箱やマットなどの体育用品なども製造・販売している。

 そんなエバニューがクセの強いニッチなULギアを製造している。

■20gのアルコールストーブ「BLUENOTEstove set」

本体とプレヒートプレートを合わせて20g。風防は別で自作したもの(撮影:山歩ヨウスケ)

 アルコールストーブと言えば、ガスストーブやガソリンストーブと比べて軽量なストーブであることが魅力だが、ブルーノートストーブはさらに軽さに特化したアイテムだ。

ブルーノートストーブはシェラカップとの相性もいい(撮影:山歩ヨウスケ)

 本体に一度に入れることのできる燃料のアルコールは15mlまで。約300mlのお湯を沸かせ、アルファ米やフリーズドライ食品などに必要なお湯の確保ができる。逆にいうと、肉を焼いたり、炊飯を作ったりなどの「調理」はできない。最低限のお湯を作るためだけのストーブであり火力が弱いため、風防の携帯は必要だが、本体とプレートで20g、風防が10gだとしても合計30gの超軽量な火器である(ちなみに風防は自作したもので、アマゾンで購入できる極薄のチタンプレートをカットして、穴あけパンチで穴を開けただけの風防である)。

 ブルーノートストーブに乗せることのできるクッカーは直径12cm程度まで。最低限の装備で山に出かけたいハイカーや、焚火調理がメインで、サブとしてちょっとコーヒーを飲んだりするのに使いたいキャンパーにとってはドンズバなアイテムと言える。

■必要な機能ですら取り外してしまう! ノンハンドルのクッカー「Ti400NH」

本体の重量は34g、クッカーとして間違いなく最軽量クラス(撮影:山歩ヨウスケ)

 続いて紹介するのは容量400mlの小型クッカーだ。このサイズを「クッカー」とするか、飲み物を飲んだりするための「カップ」とするかは賛否別れそうなところではあるが、300mlほどであればこのカップで問題なく沸かすことができる。カップラーメンやアルファ米、フリーズドライスープなどを作るのには十分な容量というわけだ。

直接は持てないので難燃素材のバンドを巻いて使う(撮影:山歩ヨウスケ)

 小型であることもさることながら、最大の特徴が、ハンドル(取手)がないこと。必要な機能まで取っ払ってしまうことで軽量化に特化している。実際にお湯を沸かした時には手で直接持つことができないので、手袋をするか、熱に強い難燃素材のバンドなどを巻いて使う必要がある。手拭いなんかを鍋つかみのように使ってももいい。

 元々ハンドルが付いた状態で販売されていたTi400は一部のULハイカーの間でNH(ノンハンドル)にするカスタムをして使われていたことがきっかけで生まれたアイテムで、装備を1gでも軽くしたいグラムカッターのハイカーやキャンパーにとっては魅力的なクッカーである。筆者は日帰りでのハイキングやデイキャンプでよく使っていて、サイズ感がちょうどいい。ハンドルがないことは数回使えば慣れてくる。

 クッカーとして考えるのであれば間違いなく最軽量クラスと言えるが、扱いには慣れを必要とするクセのあるギアだ。