登山などで圧倒的な大自然を満喫したら、温泉に入り疲れた体を整えよう。日常から離れ心身共に至福の時を過ごすのに温泉は欠かせないアイテムだ。

 ところが混雑した山登りの帰りで、そのまま温泉も大混雑。自然を満喫しきれない残念な思いをしたことはないだろうか。

 激務をこなす毎日。せめて休暇は静かな山登りと温泉を楽しみたいと、20年苦心を重ねた筆者が利用している温泉を紹介する。

 選定方法は3つ。

・混雑しにくい
・泉質がよい
・百名山などの登山後に入浴できる

■白馬塩の道温泉  倉下の湯

湯から白馬三山を眺める白馬塩の道温泉(画像提供:白馬塩の道温泉  倉下の湯)

白馬塩の道温泉  倉下の湯
・住所:長野県北安曇郡白馬村大字北城9549-8
・電話番号:0261-72-7989
・日帰り料金:中学生以上600円、3歳以上300円、3歳未満は無料
※営業日時はホームページよりご確認ください

【ホームページURL】https://www.kurashitanoyu.com/

【温泉データ】
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
湯温:48.1℃
湧出量:1500L/分のうち、倉下の湯には45L/分注がれる

 白馬大雪渓から流れる松川左岸で掘り当てた湯脈を源泉とする温泉。開湯平成5年。フォッサマグナの西の端である糸魚川静岡構造線の大断層の下に、なんと約2500万年も前に北アルプスが形成された時、閉じ込められた海水を汲み上げる。

 ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオン、メタホウ酸など多くの成分を含み、湯量も豊かである。

●倉下の湯にぴったりの山

 登山の後に白馬塩の道温泉倉下の湯を利用しやすい山は以下となる。

・白馬岳
・杓子岳
・白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)
・唐松岳
・五竜岳

朝焼けに染まる白馬の山々そして剱岳(撮影:鶴岡 亜矢子)

 糸魚川静岡構造線大断層があり温泉が豊富に湧く地域で、提案する山の登山口にも温泉はあるが、倉下の湯は近くに登山口がない。そのため名湯なのに他の温泉よりも穴場である印象だ。また、源泉温度が高く湯量も豊富で冬も加温しない湯を堪能できる。ちなみに通常は露天風呂であるが、冬季はビニールテントのようなもので覆われている。

小蓮華山から少し下ったビューポイントからの後立山連邦(撮影:鶴岡 亜矢子)
白馬八方尾根から眺める残雪の五竜岳と鹿島槍ヶ岳(撮影:鶴岡 亜矢子)

●【MAP】白馬塩の道温泉 倉下の湯

 

■韮崎旭温泉

韮崎旭温泉外観(撮影:韮崎旭温泉)

韮崎旭温泉
・住所:山梨県韮崎市旭町上條中割391
・電話番号:0551-23-6311
・日帰り料金:大人600円、小児300円、3歳以下は無料
※営業日時はホームページよりご確認ください

【ホームページURL】https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/stay/p5_5064.html

【温泉データ】
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(弱アルカリ温泉)
泉温:40.5℃
湧出量:200L/分

 倉下の湯と同じく、フォッサマグナの西の端である糸魚川静岡構造線から湧く温泉だが、岩盤が違い緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)が結晶した「石英閃緑岩」(せきえいせんりょくがん)という岩盤から噴出し、美しいエメラルドグリーンにほんのりと染まる湯を堪能できる。湯温はやや低めだが、成分効能により体が温まる。噴出量湧出量も多く湯舟から潤沢に溢れる湯と、細かな泡が特徴の炭酸泉。飲泉も源泉に限りできる。

●韮崎旭温泉がぴったりの山

 登山の後に韮崎旭温泉を利用しやすい山は以下となる。

・北岳
・間ノ岳
・農鳥岳(のうとりだけ)
・櫛形山
・日向山
・瑞牆山(みずがきやま)
・金峰山
・茅ヶ岳

山開きしたばかりの雪どけの大樺沢と北岳(撮影:鶴岡 亜矢子)
シンボルの五丈岩がそそり立つ紅葉盛りの金峰山(撮影:鶴岡 亜矢子)

 韮崎に寄り道し温泉に入ることになるが、倉下の湯と同じく韮崎旭温泉近くに登山口がないのと、近くに大型温泉施設があるため、良質の湯かつ登山客が少なめである。ただし、かなり有名であるため温泉マニアや常連が多く利用する。

●【MAP】韮崎旭温泉 韮崎旭の湯