長野県の東信地方、佐久穂町と小海町にまたがる北八ヶ岳の北麓、標高約2,115mの高地に水を湛えるのが「白駒(の)池」です。透明度が非常に高く、澄んだ空の青を映す水面。池を取り囲む緑濃き原生林や林床の苔で有名なスポットです。秋には水辺を彩る紅葉の美しさでも人気の場所です。このところの冷え込みで一気に色づきが進んでいました。

■水面に揺らぐ彩り「白駒池の秋」

駐車場から池までは、ウッドデッキのような広い木道が敷設されていて歩きやすいです

 「麦草峠」にほど近い白駒池へは、国道299号線沿いの駐車場から歩いて約15分程度でたどり着くことができます。ここまではしっかりと整備された道ですので、観光がてらに訪れることができます。

 紅葉はややピークを過ぎてしまっていましたが、それでも登山や観光の多くの人たちで池の畔は賑やかでした。秋の明るい日差しを受けて、皆さんの表情も輝いています。

あいにく風があったので鏡面のような映り込みにはなりませんでしたが、揺れる水面には表情があって色気すら感じます

 池を周遊できるように湖畔には道が続いていますが、池の南から東にかけて(「白駒荘」から「青苔荘」の間)は、木道の幅も狭くすれ違いが困難な箇所も多いです。スリリングな状態の部分もありますので、滑りにくい靴や動きやすい服装が望ましいでしょう。足元に気を付けながらも樹間から見え隠れする彩りにうっとり、ため息が出ます。

■原生林の林床で “コケ活”

池を周遊する木道。たしかに“もののけ”が出てきそうな雰囲気が漂っています

 池を周遊する道を囲むのは、コメツガやトウヒ、シラビソなどの原生林です。その林床は、苔たちでびっしりと覆われています。“コケ活”でも人気の一帯ですので、代表的な種類には案内標識も設置されています。

シッポゴケの仲間、カギカモジゴケ。池から高見石にかけて至るところに生えていました

 夏には濃厚な緑の世界ですが、この時期はやや色褪せて秋の風情が侘び寂びを演出しているかのようです。神秘的な雰囲気が漂う景色。マクロレンズを付けたカメラで小さな苔たちをクローズアップしてみると、肉眼以上のディティールを描写してくれて興味深いですね。