秋季の登山は、夏と比べて暑さも和らぎ、山に登りやすい季節になる。その一方、秋の登山では山の環境が変化するため、注意しなければいけない点がある。夏の感覚のまま登山してしまうと、トラブルを引き起こす可能性があるのだ。そこで、秋登山に潜むリスクを踏まえ、「秋登山でやってはいけないこと」を3つ解説する。

■下山時刻が遅くなりそうな山行

鳥海山・鉾立コースから眺める夕暮れ時の景色(撮影:川村 亨)

 登山では早出早着するのが基本だが、登山前の準備に手間取り、予定よりも遅い出発になってしまうこともあるだろう。しかし、秋の登山では下山時刻が遅くなるような山行は避けるべきだ。というのも、秋は日照時間が短くなり、日没時刻が夏に比べて早い。さらに、樹林帯では日の光が入りづらくなるので、日没時刻前でも暗く感じることがあるだろう。薄暗い中で歩くのは、転倒のリスクが高まるので危険だ。

 安全に登山するために、下山時刻は「日没時刻の2時間前まで」には下山できるように行程を組もう。早出早着を心がけ、時間にゆとりを持って登山するのが大切だ。

■防寒着の用意が不十分

防寒着を組み合わせて体温調節をする(撮影:川村 亨)

 肌寒くなる秋の登山、「防寒着は1着だけあれば十分」と思っていないだろうか。登る山や気候によっても異なるが、防寒着1着だけでは足りないケースもある。

 たとえば、標高の高い高山。夏では涼しかった山頂が、秋ではめっきり寒さを感じる。また、風が吹いたり雨が降ったりすると体感温度が下がり、さらに寒さを感じるだろう。一方、天候が安定して日中はぽかぽか陽気でも、朝夕は冷え込むことが多い。秋は寒暖差が激しいので、体温調節が難しいのだ。

 この環境の変化に対応するために、防寒着は複数持っていくとよいだろう。たとえば、薄手のフリースやウィンドシェルを組み合わせる。寒ければ一枚羽織り、暑ければ一枚脱ぐといったように、重ね着によって体温調節をしよう。