依然、厳しい残暑が続いていますが、朝晩は涼しくなってきましたね。筆者の住む長野県北部ではようやく秋の兆しを感じてきています。

 アウトドアでの撮影を仕事にする僕にとって、今年も気になり出したのがスズメバチの存在です。記録的な猛暑のせいか、盛夏には例年よりずっと感じなかった彼らですが、暑さがやわらぐにつれ、活動が活発化しているようです。

■秋はスズメバチの季節!

川で釣りをしている時にやってきたキイロスズメバチ

 スズメバチたちの活動の盛期は、(種類によっても若干違いますが)夏の終わり頃から秋にかけてと言われています。被害のピークは8月半ば〜10月の半ばだそうで、秋になるとその被害がどんどんと増えてくるようです。夏に個体が育って数が増えてくるうえ、餌が減少してくるせいで殺気立ち、秋はもっとも攻撃性が強まる時期です。

 刺されると激しい痛みが伴いますし、様々な症状が表れる“アナフィラキシーショック”は恐ろしく、死亡事故も毎年のように報告されています。また、巣を中心に集団生活しており、仲間を呼ぶケースもあるので迂闊に刺激しないように心がけましょう(山中で数十匹のスズメバチに襲われた知人もいます)。

■刺されないためにはどうする?

洞門の天井にぶら下がった、大きく球状になったキイロスズメバチの巣

 スズメバチの脅威は我々の生活圏にも潜んでいます。むしろ高い山々ではなく、これから本格化する低山・里山での登山、キャンプ場などでのリスクが高いです。さらに畑や民家にも営巣することから、極めて身近な危険です。

 まずは服装面での留意点。よく言われるように黒色の服装は刺激を与えるし、香水や化粧品、柔軟剤などの甘い香りは彼らを引きつけるようです。極力肌の露出を少なくし、厚手でゆとりのある服装、重ね着をしておくのがいいでしょう。ただ、暑い季節だと限度がありますよね。

 恐ろしいスズメバチですが、やみくもに襲ってはきません。テリトリーに侵入者があると、まずは偵察で様子を見にやってきます。ハチが近くまで寄って来たら、刺激しないように静かにその場から離れることが一番でしょう。とはいえ、オオスズメバチのような大型のスズメバチはかなり迫力があり、生理的に恐怖を感じるような大きく耳障りな羽音を立てながら、「カチカチ」とアゴを鳴らして威嚇されると生きた心地がしません……。

木のウロ(空洞)に巣を作るチャイロスズメバチ

 一般的に認知されている巣は大型の球状で目立ちますが、これは完成形です。完成前のものは歪で小さいし、スズメバチの中には木のウロ(空洞)や地面に巣を作る種類もいます。うっかり巣のそばを歩いたりしてしまい攻撃を受けることも。山道を歩くときは十分に周囲に注意することが大事ですね。また夜間も飛行、活動的な種類もいるので、キャンプなどでは十分注意しましょう(筆者はテント内で刺されたこともあります)。