火山活動によって形成される火口湖やカルデラ湖。荒涼の地に美しく輝く湖面は、まさに火山の神秘である。そんな神秘的な火口湖やカルデラ湖が見られる東北地方の山を5つご紹介する。

■火口湖とカルデラ湖の違い

 「火口湖」は、火口の窪地に雨水などが溜まってできる湖のことで、山頂や中腹のあたりにできることが多い。対して「カルデラ湖」は、火山活動によって生じた窪地に雨水などが溜まってできる湖だ。

 また、水蒸気爆発の影響で流れ出た土砂が堆積し、形成される湖もカルデラ湖に含まれる。そのため、火山から離れた場所にカルデラ湖ができることもある。たとえば、北海道の屈斜路湖(くっしゃろこ)や青森と秋田の県境にある十和田湖(とわだこ)などが有名である。

■【八幡平】八幡沼とドラゴンアイ/火口湖(岩手県・秋田県)

八幡平・ドラゴンアイ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 

 八幡平(はちまんたい)には、大小さまざまな火口湖が点在し、独特な山岳風景を醸し出している。なかでも一番大きいのが八幡沼(はちまんぬま)だ。展望台から見下ろすと、周囲の湿原と相まって美しい展望が広がる。

 また、鏡沼(かがみぬま)は雪解け時に神秘的な光景が見られることで有名。初夏になると沼の周囲から雪が溶け、雪解け水が澄んだ水色になるようすから「ドラゴンアイ」と呼ばれている。

■【鳥海山】鳥海湖/火口湖(山形県・秋田県)

鳥海山・鳥海湖(画像提供:鳥海山・飛島ジオパーク 推進協議会)

 鳥海山(ちょうかいさん)の7合目に位置する鳥海湖。約16万年前の火山活動の際にできた火口で、雪解け水が溜まって湖になっている。鳥海湖の魅力は周囲の景観にある。湖から鳥海山山頂や日本海が望めたり、夏季には高山植物のお花畑が見られたりする。それらの景観が相まって、鳥海湖の美しいパノラマを作り出している。

■【蔵王山】蔵王のお釜/火口湖(山形県・宮城県)

蔵王山・蔵王のお釜(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 「蔵王のお釜」と呼ばれる火口湖では、エメラルドグリーンに染まる湖面が見られる。湖面は、季節や天候の変化によって見え方が変わり、幻想的な姿を見せる。

 蔵王のお釜は、蔵王刈田(ざおうかった)駐車場から徒歩約3分とアクセスがよく、多くの観光客が訪れる蔵王のシンボルとして親しまれている。

■【一切経山】魔女の瞳/火口湖(福島県)

一切経山・魔女の瞳(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 吾妻連峰(あづまれんぽう)の東側に位置する一切経山(いっさいきょうざん)。山頂からは「魔女の瞳」と呼ばれる火口湖が見られる。湖面はコバルトブルーに色づく絶景だ。季節によって変わる景観も見事だが、湖面の色が太陽光の具合で変化するのも特徴的。

■【磐梯山】猪苗代湖・カルデラ湖(諸説あり)(福島県)

磐梯山から眺める猪苗代湖(画像提供:猪苗代スキー場)

 磐梯山(ばんだいさん)は、過去に2度の大規模な山体崩壊を起こした火山である。火山活動の影響により、川がせき止められ、磐梯山の麓には数百もの湖沼が形成されている。なかでも一番大きな湖沼は猪苗代湖(いなわしろこ)で、日本で4番目に大きい湖だ。磐梯山の山頂からは、その雄大な猪苗代湖が一望できる。また、裏磐梯側には桧原湖(ひばらこ)や秋元湖(あきもとこ)も見られ、美しい湖沼群が広がる。

■火口湖&カルデラ湖の美しい景観を見にいこう

 東北地方で火口湖やカルデラ湖が見られる山を5つご紹介した。どの山も、神秘的な美しい眺望が魅力だ。なかでも八幡平や蔵王山はアクセスがしやすいので、お手軽に景観を楽しめる。火山大国である日本には、ほかにも素晴らしい火口湖やカルデラ湖が見られる山がある。山を訪れて、火山の魅力を存分に楽しもう。