大分県別府市にある鶴見岳(1,375m)は、湧出量・源泉数ともに、全国1位の「別府温泉」から、アクセスしやすく、山頂からの眺望が素晴らしいと、一年を通して人気の山だ。

 麓からロープウェイで10分で上れる鶴見岳山頂からは、別府湾と温泉街が一望でき、さらに背後には豊後富士とも称される由布岳(1,583m)の雄大な姿を間近に望むことができる。

■アメリカの放送局CNNで「日本の美しい風景31選」に選ばれた、鶴見岳の霧氷がつくる神秘的な風景

 鶴見岳では、12月上旬から3月中旬にかけての冬の時期、山上では「霧氷(むひょう)」と呼ばれる神秘的な景色を見ることができる。「霧氷」とは、氷点下に冷えた霧の粒が、樹や枝に吹き付けられてできた氷の層のこと。

 氷点下であること、風が強いこと、湿度が高いこと、などの条件が揃うことでできる現象だ。鶴見岳の霧氷がつくる美しい景色は、アメリカの放送局CNNで「日本の美しい風景31選」に選ばれ、世界中から観光客が訪れている。

氷点下に冷えた霧の粒が、樹や枝などに吹き付けられてできる「霧氷」(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 雪山に登るとはいえ、特別な装備は一切無用。麓の別府高原駅から、ロープウェイで一気に1,300m超の銀世界へたどり着く。

 筆者が訪れた1月上旬は、麓では雪もなく快晴だったが、わずか10分で到達する鶴見山上駅は、マイナス7℃の銀世界。一緒に行った子どもたちは、普段あまり見ることのない雪を目前にして、大喜びだ。

ロープウェイには麓の別府高原駅から乗車。この時点では雪の気配はない(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
山上駅にあるジャンボ温度計。筆者が訪れた1月上旬の日の気温は、マイナス7℃(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
ロープウェイの鶴見山上駅から15分ほどで山頂に着く。雪でも歩きやすい遊歩道になっている(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 ロープウェイを降りて15分ほど歩くと、鶴見岳山頂に着く。山頂周辺には、遊歩道が設置され、展望所や札所をめぐって楽しむことができる。なかでも、豊後富士と呼ばれる由布岳を、霧氷とともに見られる展望所からの景色は圧巻だ。

鶴見岳山頂付近の展望所からの由布岳。豊後富士と呼ばれる美しい姿を、霧氷越しに見る(撮影:ブラボーマウンテン編集部)