秋になると本州の多くの一般河川の釣りが禁漁時期となる。それと入れ替わるように、ニジマスを放流して釣りを楽しめる「冬季釣り場」がここ数年かなり増えてきた。しかも関東近郊、首都圏一帯にかなりの数の釣り場がある。関東に住む人にはアクセスがいいのが何よりも嬉しいだろう。

 関東平野を流れ、流域面積日本一として知られる「利根川」。前橋市の中心部で冷水性のトラウト・ニジマスを狙う。果たして、人気の“ハコスチ”と出会うことができるだろうか。

■日本一の利根川が「冬季釣り場」に!

 言わずと知れた日本三大河川のひとつ「利根川」。関東平野を横断して太平洋へと注ぐ、流域面積は広大で日本一だ。一見穏やかに見える流れだが、「坂東太郎」の異名をもつこの川は、日本三大暴れ川のひとつにもなっている。

前橋市の中心からほど近い「敷島公園」前、利根川の流れ

 「冬季釣り場」はその本流、しかも群馬県庁の所在地で人口第2位の前橋市のただ中になる。管理小屋のあるメインの釣り場は、河川敷公園の「敷島緑地」に沿うカタチになる。綺麗な芝のグラウンドでスポーツを楽しんだり、犬を連れて散歩する人たちの横でニジマスを狙うのは、本州、しかもここは首都圏では不思議な感じがしてしまう。上流には川越しに榛名山、すぐ下流に群馬県庁の立派なビルディングを眺めつつ、ラインを伸ばした。

群馬漁協・冬季ニジマス釣り場:https://gunmagyokyou.blog.fc2.com/blog-entry-3190.html

■強く美しいニジマス・群馬県が誇る“ハコスチ”

群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」と“ハコスチ”のコラボ!

 “ハコスチ”とは、遊漁用に群馬県の水産試験場が開発したニジマス(レインボートラウト)だ。野性味が強いスチールヘッド系ニジマスと、群馬県のみが保有する飼育しやすい箱島系ニジマスを交配したもの。スチールヘッド系の特徴を引き継いだ“引き”の強さと箱島系の姿形の美しさを併せ持つ、いいとこ取りの魚だ。

群馬県限定のブランドニジマス“ハコスチ”の勇ましい顔つき

 「冬季ニジマス釣り場」は10月16日にオープン。12月17日までは全区間魚の持ち帰り禁止、キャッチアンドリリースなので、魚の密度はどんどんと濃くなっていくはずだ。

■まるで夏!? 減水傾向のタフコンディション

 朝方こそ冷えていたものの天気予報通り気温が一気に上がり、午前中から長袖のTシャツを袖まくりして川に立ち込んだ。ウェーダーも夏場に使用しているもの。それでも暑いくらいだった。水温は釣り開始の8時で14.5℃、正午には16℃台後半まで上がっていた。

 水量はひと目でわかるくらいの減水傾向で、加えて連日のフィッシングプレッシャーで魚たちはかなり渋そうだ。

夏のような暑さが、寒さに慣れつつあった身体にこたえる。対岸のエサ釣り師はよく竿を曲げているが……

 メインの放流場所でもある管理棟前のランは、目測でエサ釣りが6〜7割、残りをフライとルアーのアングラーが半々くらい。圧倒的に右岸人気で、すでに目ぼしいポイントには入り込む隙がなさそうだった。比較的空いている左岸側を釣り下っていくことにした。

 対岸のエサ釣り師たちは面白いように竿を曲げているが、こちらはランの最後まで下ってもアタリすらなかった(僕の弁護のために書くと、見る限りフライフィッシャーで魚をかけている人はいなかった……)。夏のような暑さで、携行していたお茶も飲み干し、グッタリしてしまう軽い熱中症状態。昼ご飯もそこそこに、そのまま倒れるように窓を全開にした車中で昼寝……。