◼️️<ポイント②>プラスの前後泊が必要

 中辺路ルートは1泊2日で歩く計画だが、スタートは早朝でゴールと参拝が夕方になる。そのため、前後も宿泊する3泊4日のスケジュールを確保しなければならない。これが、熊野古道歩きのハードルをやや上げる原因になっている。

 行きにくい場所にある一定の道のりを、自分の意思と足で歩く。そのために、スケジュールを調整して、4日間の休みを死守する。長い時間をかけて準備をし、やっと参拝を果たす。そういうことに価値を見出せる人は、きっとなんとかするだろうし、しなければ実現はできない。できるかできないかではなく、やるのかやらないのか、である。

 ちなみに、前泊には、新しいホテルや宿泊施設が増えつつある紀伊田辺駅の周辺のホテルが便利だ。駅前には「味光路(あじこうじ)」という個人店ばかりの飲食店街があり、田辺の日常的な活気に触れることができてよい。季節の旬を味わって、酒で穢れを祓う“酒垢離(さかごり)”をするのが、ぼくの前夜の定番だ。

 もし明るい時間に到着できるなら、扇ヶ浜で海水を浴び、穢れを祓う儀式 “潮垢離(しおごり)”をするのもよい。沈む夕陽を眺めながら、熊野の神さまに会うための禊を、地元ならではのやり方で体験しよう。

◼️️<ポイント③>行程の長い2日目には救済ルートがある

発心門王子。ここまで来ると、いよいよ本宮は間近

 ここまで読み進めてきて、体力的な不安から熊野古道歩きを諦めてしまう人がいるかもしれない。そこで、ひとつアイデアがある。それは2日目の行程の厳しい区間だけをすっ飛ばす、ぼくなりの“救済ルート”の提案だ。

 方針としては、近露王子から先の行程はキャンセルし、発心門王子(ほっしんもんおうじ)から熊野本宮大社までの区間だけを歩くというもの。近露王子からバスを乗り継いで発心門王子へと向かえばよい。ここから熊野本宮大社までは、残り約7km。舗装路が中心となり、下り基調なのできっと歩ける。

「ちょっと寄り道展望台」からの風景

 なにしろ発心門王子の先にある「ちょっと寄り道展望台」からの風景は、この区間で最高のハイライトだ。自分の足で獲得したその感動を胸に、熊野本宮大社までの“ほんとうの”ラスト1.5kmを歩こうではないか。

◼️2日目の宿の場所が計画のキモ!

潮水に触れて穢れを祓う“潮垢離”は扇ヶ浜で

 今回は1泊目の宿泊地を近露王子としたが、その次にある継桜王子(つぎざくらおうじ)まで行ければ、翌日の行程が1時間ほど楽になる。継桜王子のある野中の地域はゲストハウスなどの宿泊施設が点在しているから、初日のうちに野中まで歩いてしまう人も多い。ただし、売店などの商業施設はないので、その点は注意したい。

 ずっと手前の「高原」に宿泊するハイカーもいる。この場合、距離的に2日目の宿は「野中」にすることになり、2泊3日の行程になる。およそ40kmの行程を2泊3日で組むことによって、体力に不安のある人でも熊野本宮大社を目指しやすくなるだろう。そして、1日目のスタートを早朝にする必要がなくなるのも嬉しいポイントだ。

 そんなわけで、今回は熊野古道歩きの超定番コースとなる中辺路「滝尻王子~熊野本宮大社」についてとり上げた。これを参考に現地を歩く人と会うことができたら…… とてもうれしい!