レインウェアは晴れていても必ず山に持っていく登山装備のひとつ。

 晴れているのに、山に持っていくの? と疑問に思われた方もいるだろう。レインウェアは「登山靴」「バックパック」と並んで登山の「三種の神器」のひとつとも言われるアイテムだ。

 この記事では、なぜ晴れた日でもレインウェアが必要なのかを、登山に適したレインウェア、素早く着る方法などと併せて紹介する。

■知ってた?  登山でレインウェアが必要なワケ

上下セパレートのレインウェアは動きやすい

 登山にレインウェアが必要なワケとは?  筆者の失敗談とともにその理由を大きく3つ紹介する。

1. 山では突然雨が降ることも

天気が悪くなってきた、白馬岳山頂付近

 山では、晴れ予報でも雨が降ることはよくある。とくに午後になるに連れて、天気は崩れやすくなる。

 筆者も北アルプスの白馬岳(しろうまだけ・標高2,932m)で突然の雨に遭遇したことがある。しかもレインウェアは持っていなかった。

 白馬岳頂上宿舎でチェックインを済ませ、身の回り品だけ持って白馬岳山頂に向かった。山頂までは往復1時間ほどで、つい油断してしまった。晴れていたのも束の間、天気は急変し下山途中に雨が降り始めた。頂上宿舎に着くころは全身ずぶ濡れ状態に。

 晴れているうえに、往復わずか1時間ほどと油断したのが原因だ。それ以来、短い距離でもレインウェアは必ず携行するようにしている。

2. 防寒着代わりとなる

 レインウェアは防寒着にもなる。休憩時や風が強い場所を歩くときにレインウェアを着るだけで暖かい。またレインパンツも履くとさらに暖かくなる。

 レインウェアは雨の日だけでなく、寒いときの防寒着として活用できる。

3. 傘じゃダメ?

 登山中、傘をさして歩くのは危険なのでおすすめしない。転倒など万が一のときに手が塞がっていると対処しづらく、風に煽られてバランスを崩したら転倒や滑落の恐れもある。登山中は両手があくレインウェアを着用しよう。

 余談にはなるが、軽量な登山用の傘はいつ使うのか? と疑問に思う方もいるのではないだろうか。軽量な傘は、テントや山小屋などに泊まったときに便利だ。トイレなどちょっと外に出るときレインウェアをいちいち着込まずにすむ。また公共交通機関を利用して自宅から登山口まで移動する場合も、軽量な傘があると装備が重くならずにすむ。

■登山に適したレインウェアとは

脇にベンチレーションがついたレインウェア

 レインウェアといっても素材も種類もさまざまだ。では一体、どんなレインウェアが登山に適しているのか?  筆者の経験を踏まえて紹介しよう。

●上下セパレートのレインウェア

 山では上下セパレートのレインウェアがおすすめ。ポンチョタイプは、足さばきが悪くて歩きにくいうえに、風を受ける面積が広く、強風に体ごと煽られる心配がある。低山だから大丈夫と思われるかもしれないが、低山であっても痩せた尾根や岩場など、風雨の影響を受けやすい危険箇所はたくさんある。

●ゴアテックスなど防水透湿素材のもの

 おすすめは、防水透湿素材を使ったレインウェア。汗など内部にこもった湿気は外に出し、外からの水の侵入を防げるように、雨の中でも快適に過ごせるような機能が備わっている。

 防水透湿素材で有名なのは「ゴアテックス」だが、そのほかモンベルの「スーパードライテック」やミレーの「TYPHON(ティフォン)」などアウトドアメーカー独自の素材を使ったものがあり、種類も豊富。メーカーによって特徴が違うので、軽量、着心地など自分のスタイルにあったレインウェアを探してみよう。

●ベンチレーションがあれば快適

 ベンチレーションとは脇などにある通気口のこと。これにより、体内にこもった熱や湿気を放出し、ウェア内の温度や湿度を調節できる。これがあるのとないのでは快適さが違うので、ベンチレーション付きがおすすめだ。

 以上、筆者がおすすめする登山に適したレインウェアについて解説したが、実際に買うとなると種類が多くどれがいいか迷ってしまうだろう。最初のうちは専門店で店の人に聞いて試着してみて、自分に合ったレインウェアを選ぶのが一番よい。