■風が凪ぐ! 暮れなずむ湖面の甘美なハーモニー
日が傾いてくると風が止み、静寂が辺りを包みます。アタリが全くなくなったので桟橋のたもとを泳ぐ魚の様子をぼんやりと眺めていると、ヒレに白い縁取りがある魚を見つけました。まさかと思いつぶさに観察すると体の模様もイワナです! 一緒に泳いでいるニジマスよりひと回り小さいですが、それでも40cmを超えて丸々と太っていて丸太のよう!
幾度も訪れている八千穂レイクですが、初めてイワナの姿を見ました。自然繁殖しているのは話に聞いていましたが、どこか水中の障害物の陰に隠れているのだろうと思っていました。ニジマスと一緒に仲良く泳いでいるとは……。俄然釣り欲が高まりますが、狙って釣れるような感じではありません。ニジマスが先に掛かる方が遥かに確率が高いでしょう。と言いつつ、そのニジマスも釣れなくなってから随分と時間が経っています。
稀にライズが起こります。共にライズリングが水面に広がっていくのをぼんやりと眺めながら、湖に立ち込んでキャスティングを繰り返すフライフィッシャーたちを見つめていてもロッドが曲がる様子はありません。秋の日が山の端に沈み、残照を受けて雲が紅に染まってきました。艶やかな色合いが湖面を彩ります。
八千穂レイクの営業は今月30日まで。一帯の紅葉シーズンはクライマックスです。このところの冷え込みで一気に色づきが進みました。標高の高い「白駒池」周辺の彩りはカラマツ林にバトンを渡しつつあります。八千穂レイクや「八千穂高原自然園」くらいが見頃でした。防寒対策をしっかりして、紅葉狩りと釣りを楽しんでみてはいかがでしょう。