東京23区南部と神奈川県東部を走る東急電鉄の沿線には、「山」の名が付く駅が数多く点在している。今回はその中から、横浜市港北区にある大倉山駅に着目した。港北区役所の最寄り駅で、周辺は商店街や住宅街に囲まれているこの駅。実はその裏手には、これからの季節に注目したいスポットが存在した。

■大倉山記念館

大倉山駅のすぐ脇を登る坂道(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
あっという間に駅のホームを見下ろせる高さになる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 大倉山駅の改札を出て左手すぐに、線路に沿って登っていく坂道がある。かなり急な坂道で、数十メートル歩くだけで大倉山駅を見下ろせる高さまで上がった。更に先に進むと、大倉山公園に到着する。

大倉山公園の入り口(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 敷地に入って階段を上がっていくと、丘の頂上に当たる場所に建っている、白いモダンな建物が正面に見えた。この建物が大倉山の地名に深い関わりを持つ、大倉山記念館だ。

大倉山記念館。横浜市の有形文化財に指定されている(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 大正15年の東横線開通当初、現在の大倉山駅は付近の町名に合わせて太尾駅(ふとおちょうえき)として開通していた。昭和7年になり、実業家の大倉邦彦によって大倉精神文化研究所が現在の記念館の位置に創立された。

 これを受けて、駅名が大倉山駅に改称。平成21年には周辺の町名も大倉山に変更されている。つまり大倉山とは、大倉氏の施設がある山に因んだ地名だったということだ。

駅前の商店街に経緯が記されていた(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 現在の大倉山記念館は、主に横浜市民の文化活動のため、ホールや会議室を貸し出している公共施設として利用されている。