■底を意識してテンポよく探るとハゼが連発
筆者が訪れた日は、前日から降ったりやんだりの雨が明け方に止み、午前7時から釣りを開始した。潮回りは小潮で、川は緩やかな上げ潮。中サイズのアオイソメを3cmほどに切ってハリに付け、護岸際へ仕掛けを落としていく。
ここで重要なのが、エサを川底まで届けることだ。今回探った場所には消波ブロックが沈んでおり、その上にエサが乗った状態の時はほとんど反応がなかった。一方、ブロックの隙間を通してエサが川底に届くとアタリが出た。
仕掛けが川底に着底したら5秒ほど待ち、反応がなければ10cmほど持ち上げて再び落とし、エサを動かしてハゼを誘う。これを2、3回繰り返してもアタリがなければ、護岸沿いを数歩移動して次の場所を探る。食い気のあるハゼがいれば反応は早く、「ブルブルッ!」という明確なアタリが伝わってくる。こうして次々とポイントを探れる手返しのよさも、ミャク釣りの大きな強みである。
この日も一投目から魚が飛びついた。姿を現したのは本命のマハゼではなく、20cmに迫る大型のウロハゼ(スズキ目ハゼ科)。続いて13cmほどの本命マハゼも釣れ、開始早々から期待が膨らむ展開となった。
■3時間でマハゼ&ウロハゼが好釣果
その後も護岸沿いを数歩ずつ移動しながら仕掛けを落としていくと、マハゼやウロハゼが次々と姿を見せた。やはり1か所で粘るよりもテンポよく移動し、食い気のある魚を探していくことが釣果を伸ばす近道だった。
エサの付け方にもひと工夫した。アオイソメは3cmほどに切って使用したが、エサのタラシ(エサがハリのフトコロから下に垂れ下がっている部分)が長すぎると、アタリはあるのにハリ掛かりしないことがある。こういった場合はハリのない部分だけを食べられているため、エサのタラシを短くするとハリ掛かりしやすくなる。
午前10時まで約3時間釣った結果、本命のマハゼは8~14cmを9匹、ウロハゼは15~19cmを15匹、そのほか5cm前後のシマハゼ(スズキ目ハゼ科)は多数という好釣果。秋本番前となる9月初旬の釣行としては、期待以上の結果となった。
■市場では出会いにくい秋の味覚を天丼で堪能
涸沼周辺では昔からハゼ釣りが親しまれ、釣ったハゼを食べる楽しみも受け継がれてきた。かつて涸沼の船宿では、天丼を注文するとハゼの天ぷらを使った天丼が普通に出されていたという。現在でも涸沼周辺の料理店ではハゼの天ぷらや天丼を味わうことができる。
マハゼは食味のよい魚として知られる一方、一般のスーパーなどで鮮魚を目にする機会は少ない。だからこそ、自分で釣ったハゼを持ち帰り、揚げたての天ぷらで味わえるのは、釣り人ならではの楽しみである。
今回は10cmを下回る小さな個体をリリースし、良型のマハゼとウロハゼだけを持ち帰って天丼にした。ウロコ、頭、内臓、中骨を丁寧に取り除いて背開きにし、薄く衣をまとわせて高温(180℃ほど)の油でカラリと揚げる。炊きたてのご飯に盛りつけ、甘辛いタレを回しかければ完成だ。
揚げたてを頬張ると、サクサクとした衣の中からふっくらとした白身が現れ、上品な甘みが口いっぱいに広がった。秋の涸沼川でハゼを釣り、自宅で旬の味覚を堪能する。釣る楽しさだけでなく、その土地と魚の食文化に触れながら「釣って食べる」ところまで満喫できることも、秋のハゼ釣りの大きな魅力である。
※ 管轄漁協:大涸沼漁業協同組合 https://oohinumagyokyo.jp/
※涸沼川および涸沼で釣りを楽しむためには遊漁券が必要。