釣りは身近な場所で楽しめるアウトドアアクティビティだが、規制や禁止がされている区域もある。自分自身に危険を及ぼすこともあれば、周囲の人に迷惑や危険が及ぶから、という理由からだ。初めての釣り場に行くときは、その場所が許可されているかどうか、下調べが必要である。また、地域や季節によっては釣ってはいけない魚種もあるので合わせて確認しよう。

■そもそも、なぜ釣りが禁止になるのか?

●一番多いのは、マナーの問題

ゴミのポイ捨てやマナーのトラブルが原因で釣り禁止になることが多い

 釣りの禁止につながる原因で一番多いのが、ゴミのポイ捨てや騒音といったマナー面のトラブルだ。全国的にそういった場所は非常に多いとされ、釣り禁止のエリアは過去5年で約1.5倍になっているそうだ。

 ゴミによる水質悪化は地元の方々やその水域の魚たち、ひいては世界中で問題になっている海洋プラスチックゴミの問題にも関連する。プラスチックゴミは自然分解されないため、ずっと海に残ってしまうし、魚類だけでなく海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり、死んだりしている。プラスチックゴミの摂取率は、ウミガメで52%、海鳥の90%と推定されている。

 「来た時よりも釣り場をきれいに」をモットーに、自分がゴミを出さないのはもちろんその場で見つけたら積極的に拾うようにしよう。また、大声を出したりカーステレオを大音量で鳴らしたりしないよう、近隣住民への配慮も忘れずに。

●事故・事件

 過去に水難事故や落水があったことから、危険な釣り場とみなされて釣り禁止になったところも多い。明らかに釣りができそうもない悪天候の日に竿を出したり、ライフジャケットを着用せずに落水や水に流されてしまったりといった事故も多い。これから釣りを始める人はまずはライフジャケットを購入し、着用するようにしよう。

■釣り禁止の場所には理由がある

高波にさらわれないためにも、絶対に入らないこと

●悪天候時には確実に波をかぶる

 立ち入り禁止のポイントは、消波ブロックや護岸が整備されていることがほとんどだ。足場が広く、釣りがしやすそうに見えるが、消波ブロックや護岸は市街地に水が流れてこないようにするものであるため、もともと高波が多い場所だということになる。立ち入り禁止の場所に入ってまで釣りをするのは、命を捨てに行くようなもの。絶対にやめてほしい。

●歩行者や周囲の人に危険が及ぶ

 東京都や大阪府のような大都市も、釣り禁止の場所は多い。年々釣り禁止の場所が増えているようだが、それは釣りをしない人々が散歩中やジョギング中に、振りかぶったルアーが目の前を通ったなどの怖い思いをしたといった苦情が多いからだそうだ。投げ釣りだけが禁止されているポイントもあるようなので、事前に確認する必要がある。

●アンダーハンドでキャストしよう

 投げ釣りが禁止されていなくても、人通りの多い釣り場では背後の通行人のことを考えた行動が求められる。遠くに投げたいからといって大きく振りかぶって投げるオーバーヘッドキャストを行うと、他人に怪我をさせてしまう可能性があるので、釣竿を柵の前方(海側)に出した状態からキャストするアンダーハンドキャスト(下手投げ)で行うのがマナーである。