日野市は、武蔵野台地の西に位置する。八王子市から日野市・多摩市をまたぐ多摩丘陵、川崎へ向かって流れる多摩川を中心に、市内は豊かな自然に恵まれている。

 その一方で、日本国有鉄道発足前から同地に建ち続ける日野駅舎や、日野駅前・甲州街道沿いに位置する「日野宿本陣」など歴史ある建物も立ち並び、新撰組ゆかりの地としても知られるなど、さまざまな魅力がある街だ。

 そんな日野市が今、話題になっている。日野市は、7月7日より放送開始した深夜アニメ「しかのこのこのここしたんたん」の聖地だからだ。

 通称「しかのこ」は、放送開始前からTikTokで主題歌が大バズりし、主題歌のYouTube再生数も2,000万回を突破するなど、今注目のアニメ。第1話にて日野市の名所が多数紹介され、現在このアニメを見たファンたちによる聖地巡礼が盛んに行われている。そして、日野市内では実際に何度も野生の鹿が目撃されており、あながち鹿と無関係なわけでもないというのも面白いところだ。

 今回は、アニメ「しかのこ」で実際に映った「聖地」のうち代表的なスポットをめぐる街歩き・ハイキングコースプランを紹介しよう。多摩丘陵をスタートし、日野市内をぐるりと周遊するコースで、アニメファンでなくとも楽しめる散策コースとなっている。興味がある人は、道中に点在する新撰組ゆかりの地に寄り道しながら回ってもいいだろう。

■コース概要・所要時間

多摩丘陵から多摩川河川敷、日野市街地までぐるりと回れるコース(国土地理院地図から引用)

 今回の「しかのこ」聖地をめぐる街歩き・ハイキングコースは、多摩モノレール「程久保(ほどくぼ)駅」をスタートして中程久保橋から鹿島台・みはらし公園へ上り、そこから日野市役所方面へ。日野駅から都道256号線沿いを歩き、多摩川河川敷へ立ち寄った後、モノレール通りを南下して高幡不動尊から京王線・多摩モノレール「高幡不動(たかはたふどう)駅」に至る、総距離10〜12kmほどのコースだ。

 所要時間は、徒歩のみで2時間半〜3時間、バスや自転車を使うと1時間半〜2時間程度といったところ。前半はアップダウンや豊かな自然を楽しめる丘陵コース、後半は日野の市街・住宅地をめぐる街歩きコースとして、バランス良く楽しめるよう構成した。

 前半は公共交通機関のコースに沿わないこともあり、徒歩のみとなるが、後半は徒歩だけでなく、ミニバス・シェアサイクル(レンタル自転車)など選択肢が広がる。無理に全て徒歩で制覇する必要はないので、疲労度や体調を考慮して柔軟に選択しよう。

■休憩所の有無について

 夏アニメの聖地ということもあり、猛暑が続く中で歩く人も多いだろう。そうした時に重宝するのが休憩場所だ。日野市では夏場の時期の外出時に熱中症による健康被害を防止しようと、市内にある複数の施設を外出時の小休憩所として利用できる「クールスポット」を指定している。

 前半は、みはらし公園内のベンチくらいしか休憩スポットはないが、後半は日野の市街地ということもあり、休憩所には事欠かない。日野市役所・ひの煉瓦ホール(日野市民会館)をはじめ、各地域のコンビニ・スーパーマーケット・ドラッグストア・交流センター・地域包括支援センター・多摩信用金庫など多くの場所が「クールスポット」として指定されている。

 なお、あくまでも善意で提供されているものなので、長居をしたり休憩目的でスペースを占拠するなど、施設の迷惑になるような行為はやめよう。

■アニメ第1話で映った程久保駅からスタートし中程久保橋へ

アニメ冒頭で登場した「程久保駅」

 スタート地点は、多摩モノレール「程久保駅」に設定した。アニメ第1話冒頭で映る場所で、主人公が通う高校の生徒が程久保駅から歩いているシーンがあるのだ。

 中央線では「立川駅」、京王線では「高幡不動駅」、西武拝島線では「玉川上水駅」から多摩モノレールへ乗り換え可能。いずれの乗り換えでも「多摩センター行」に乗れば「程久保駅」へ到着できる。京王線・小田急線「多摩センター駅」からももちろん乗れるが、その場合は「上北台行」に乗ろう。

 程久保駅で下車後、改札を出て右側に曲がり、階段を降りて道路に出て南に進めば、アニメで映る生徒たちと同じ方向に歩くことができる。そのまま駅を背に南に歩いていくと、次の聖地である「中程久保橋(なかほどくぼばし)」がある。

 なお、劇中に登場する程久保駅は道路の真ん中から見た光景が映っているため、歩道から安全に撮影するとどうしても画角がずれてしまう。しかし、道路の真ん中に立って撮影するのは極めて危険なので、ここはシーン通りの画角で撮影するのは諦めた方がいい。

 程久保駅では、ついでに走行中の多摩モノレールの写真を撮るといいだろう。走行中の多摩モノレール車両も、劇中冒頭に出てくる。

程久保駅付近からは走行中の多摩モノレール車両も撮影できる

程久保駅
住所:〒191-0042 東京都日野市程久保8丁目
電話:042-526-7819(多摩都市モノレール株式会社 運輸部運輸課 平日9:00~17:45)
※営業日時はホームページよりご確認ください

【公式サイト】https://www.tama-monorail.co.jp/monorail/station/hodokubo/

●【MAP】程久保駅

■中程久保橋には鹿がいる?(いない)

劇中では中程久保橋からまっすぐ坂を上ったところに「都立日野南高校」がある

 中程久保橋には、程久保駅から多摩都市モノレールの高架沿いを、多摩動物公園方面へ5分ほど歩くと到着する。

 劇中冒頭では、主人公である虎視虎子(こし・とらこ/こしたん)が中程久保橋から延びる上り坂を歩いて、多摩丘陵の上にある「都立日野南高校」へ向かって登校するシーンがある。そして、虎子の後ろに「鹿が集まっている」という謎の描写が挟まれるのだが、この鹿が集まっている場所こそが中程久保橋なのだ。

 中程久保橋を渡って振り返り、多摩都市モノレールの高架をバックに撮影すれば、(鹿を除き)かなり再現度の高い写真が撮れる。

主人公・虎視虎子の背後に現れる鹿が立っていた「中程久保橋」

 なお、中程久保橋は比較的車の交通量や人の往来が多いため、撮影の際は歩道の端に寄り後方に注意しながら撮影しよう。交差点に位置するため車が左折してきたり、複数台並んで信号待ちをしたりするので、車の邪魔にならないよう注意しよう。なお、劇中では当然のように鹿がウロウロしているが、現実の中程久保橋には鹿は歩いていない。

中程久保橋
住所:東京都日野市程久保8丁目

●【MAP】中程久保橋