秋は紅葉を見に行きたい! けれど、関東近郊では燃えるように赤く染まった紅葉が見られる場所は少ない。それは「植生(しょくせい)」の違いによるもの。北東北は「ブナ」の木が多く、秋になると山全体が赤く見える程に染まっていく。

 そこで筆者は燃える紅葉を求めて、日本3位の水深を誇るカルデラ湖・青森県の十和田湖(とわだこ)を目指した。十和田湖の湖畔に佇む「宇樽部(うたるべ)キャンプ場」をバイクで訪れ、紅葉に染まる「奥入瀬(おいらせ)渓流」をツーリング。本記事では、2022年10月27日に訪れた様子をレポートする。

■訪れたのは紅葉のピーク!

宇樽部キャンプ場 管理棟の前にあった黒板には「紅葉ピーク」の文字(撮影:酒井 天里)

 管理棟の前には黒板が設置されていて、天候と風速の情報、そして「紅葉ピーク!」の文字。関東からはるばるやってきたので、よいタイミングで来ることができて本当に良かった。

 受付でキャンプ場の説明を聞いた後、入場料310円、二輪車105円、フリーサイト(テント1張)210円の計625円を支払う。破格の安さだ。

 その他にも24時間使用可能なシャワー100円、洗濯機200円、乾燥機100円とどれも安い。そのうえ、全て綺麗で清潔で、管理が徹底されている。またバンガローがあったり、炊事場にゴミ箱が設置されていたりと至れり尽くせりだ。電話、または公式サイトからWEB予約ができる。

【宇樽部キャンプ場公式サイト】https://utarube-campground.com

■フリーサイトに設営

友人にもらった燻製チーズをつまみに晩酌(撮影:酒井 天里)

 施設内の通路を妨げたり、植生を傷つけない位置であれば自由に設営することができる「フリーサイト」。湖畔や木々の間など、好きな位置にテント設営ができて、バイクや車も乗り入れ可能というのがありがたい。

 筆者の訪れた時間が夕方ということもあり、湖畔のベストポジションは埋まってしまっていたが、紅葉の木々の隙間から湖が見える場所が空いていた。

 テントを設営し終わる頃には暗くなってしまった。夕食を済ませたのち、キャンプ場に来る前に立ち寄った青森市内に住む友人に貰った、燻製チーズをつまみに晩酌して就寝。

宇樽部キャンプ場のフリーサイトは抜群のロケーション(撮影:酒井 天里)
宇樽部キャンプ場の紅葉と湖畔にあるカナディアン・カヌー(撮影:酒井 天里)

 翌朝、夕方は薄暗くてぼんやりとしていた景色だったが、朝日に照らされ紅葉が燃えるように輝きだした。求めていたロケーションだ。設営したテントの後方には、湖畔に並ぶ年季の入ったカナディアン・カヌーと紅葉の風景が広がっている。ちなみに十和田湖ではカヌーツアーを体験できるので、湖上からの紅葉を楽しみたい人はチェックしてみよう。

秋のソロキャン・落葉と朝食。お手軽だけど、最高に美味しい(撮影:酒井 天里)

 朝食はホットサンドメーカーで焼いた惣菜パンとドリップのホットコーヒー。朝の気温は1桁まで冷え込んだが、そのおかげで温かいコーヒーが染みる。

 筆者のスタイルはお手軽重視なので、凝った朝食を作ることはしないが、簡単なものでも家で食べるご飯の何倍も美味しく感じるのがキャンプのよいところだ。

■静かな時が流れる「宇樽部キャンプ場」

宇樽部キャンプ場の湖畔で読書を楽しむ人(撮影:酒井 天里)
宇樽部キャンプ場の対岸の紅葉も燃えるように染まっていた(撮影:酒井 天里)

 朝の宇樽部キャンプ場は静かな時が流れていた。湖畔で読書を楽しむ人、湖でカヌーを漕ぐ人、犬の散歩をする人、それぞれが最高のロケーションを楽しんでいる。

 筆者の楽しみ方は、写真撮影だ。対岸の紅葉が美しかったので、テントを撤収して、荷物を積載したバイクと撮影。荷物を載せると、旅をしている雰囲気がでるのが好きだ。

 宇樽部キャンプ場では夜22時〜朝7時までは迷惑となる音・行為が禁止されている。そのため、バイクで7時前にキャンプ場を出る場合は、場内ではエンジンをかけずに押して移動する配慮が必要となる。