■芦屋に匹敵する西宮七園

 兵庫県西宮市から神戸市東灘区までのエリアには、芦屋などの高級住宅街が多く、とくに西宮市内の甲子園、昭和園、甲風園、甲東園、甲陽園、苦楽園、香櫨園は「西宮七園」と呼ばれ、大正から昭和にかけて開発・整備された街だ。これら西宮七園のうち、苦楽園と甲陽園の最寄り駅があるのが、阪急甲陽線である。

 甲陽線の路線距離は2.2kmと阪急電鉄の中では最短で駅数ももっとも少ない。今津南線という1.6kmの路線もあるが、あくまでも今津線(9.3km)の一部なので、正式な路線名ではない。

 甲陽線の開業は1924年。当時は最大のライバルだった阪神電鉄が、子会社を設立して香櫨園駅から苦楽園までのバス路線の建設許可を受けたことに対抗し、急遽開業したといういきさつがある。

 起点は夙川(しゅくがわ)駅で、苦楽園口駅を経て、終点が甲陽園駅。阪急路線では2例しかないワンマン運転を実行(もう1つは今津南線)し、全線が単線なのも嵐山線と甲陽線だけだ。