里山で出会う動物といえば、タヌキやリスを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。けれど、ちょっとした森があれば、意外と身近なところにいるのがムササビ。でも夜行性のため、あまり人目につかず静かに生活をしているようです。秋が深まり冬が近づくこの季節をねらって、ムササビ観察に出かけてみました。

■12月はムササビウォッチングに最適

こんな滑空を見られるのが、ムササビウォッチングの醍醐味

 年末も迫る12月になると、筆者は急にモゾモゾし始めます。それはムササビを観察するのに最も良いシーズンだからです。

 その理由の1つ目は、ムササビが繁殖シーズンを迎えるからです。オスがメスを追いかけたり、オス同士でメスを巡る争いが勃発したりして、とにかくド派手に活動をするのです。普段よりも活発に行動するので、観察をするのにはとにかく楽しい季節です。

 2つ目は、日没が早いこと。ムササビは、基本的に日没の30分後から活動を開始します。東京の12月の日没は、16時半前後。つまり、17時頃にムササビが巣穴から出てくるのです。それから約1時間半くらいが活動も活発で観察しやすいと思います。私がよく観察する公園の駐車場の閉場は19時。それまで安心して観察できますし、帰宅してから夕食を食べるのにもちょうどよい時間です。そのため、自分の生活のリズムを崩さずにムササビウォッチングを楽しむことができます。

 3つ目は、12月は厳冬期に比べてまだそれほど寒くないこと。1時間半くらいの観察なら、体が冷え切る前に帰ることもできます。もちろん防寒着にしっかりと身を包んでいくことは言うまでもありません。

■ムササビ観察のハウツー

公園に架けられたムササビ用の巣箱の前で日没を待ちます

 では、ムササビウォッチングをするのには、いったいどうすればよいのでしょうか。

 まず、ムササビのいそうな大きな木がある公園や寺社に行ってみます。ムササビのいる公園では、観察会をしていることも多いので、ネットで検索をしてみるとよいでしょう。東京周辺では、高尾山御岳山が有名ですが、里山や丘陵地でも大木があれば住んでいたりするものです。ムササビ用の大きな巣箱をかけているところもあります。

 私は日没の30分ほど前に行って、下見をすることが多いです。巣箱があっても日によっていたりいなかったりするのですが、とりあえず巣箱や樹洞のある大木の前で待ってみましょう。

赤セロファンをかぶせたライトは必携です

 そして、ムササビを驚かせないように、赤セロファンをかぶせたライトで時々そっと巣穴に光を当ててみます。ライトを当て続けると、さすがにムササビも警戒して出てこなくなることがありますのでご注意を。