秋になると、毎年のように毒キノコによる食中毒のニュースを耳にします。実際に山にキノコ狩りに行った経験のある方はご存知だと思いますが、食べられるキノコと毒キノコを見分けるのは至難の業。知識がない方が間違えて口にしてしまう気持ちもわかります。

 「毒キノコの見分け方」と検索してみると、まことしやかな説がたくさん出てくるので、わかりやすいものを信じたくなりますよね。しかし、そんな不確かな説を信じてはなりません! 食中毒を引き起こすだけではなく、中には内臓を溶かしてしまうような凶悪なものもあるそうです……。

 ここでは、古くから伝わる毒キノコの見分け方について、その真偽のほどを考えてみましょう。

■虫がついているキノコは食べられる

虫が食べられるなら、人間だって食べられる?

 「虫が食べているのだから、人も食べられる」

 この説は、一見理にかなっているように感じますが、大きな間違いです。

 例えば、猛毒キノコとして知られるドクツルタケには、虫がついているのを見かけます。ある生物にとっては食用でも、別の生物にとっては毒になるケーズは少なくないのです。

■カラフルなキノコは毒

色は判断基準の1つにすぎません

 「カラフルなキノコは全て毒キノコ」

 この説も間違い。

 ベニテングダケのように、派手な色をした毒キノコもあれば、タマゴタケのように色鮮やかなのに食べられるキノコもあります。反対に、色が地味=食べられるとも言いきれないので、色と毒は無関係です。

■茎が縦に裂けるキノコはOK?

いかにもキノコが潜んでいそうな針葉樹の森

 「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」

 これも古くから言われている説ですが、毒キノコの多くが縦に裂けるので、これも間違い。

 例えば、誤食による中毒死亡例の多いドクツルタケ(非常に毒性が強い)はきれいに裂けます。ハツタケやチチタケのように裂けにくくても食べられるキノコもあります。