夏の余韻を感じさせる暑い日が続いていますが、朝夕は日毎に涼しくなっています。敬老の日の連休は、登山者で大いに賑わった山も多かったようです。人気の山域のキャンプ(幕営)指定地、いわゆるテン場は限られたスペースであることもあり、大変な混雑となっていた場所もありました。

 南アルプス北端の百名山甲斐駒ヶ岳」、さらに「仙丈ヶ岳」などのベースとなる長野県伊那市の北沢峠。山小屋「長衛小屋」のテン場にはカラフルなテント村が出現していました。

■今シーズン一番のテント村!

標高2,032mの北沢峠。ここまでバスに揺られて来ることができます

 連休初日の朝一番、山麓の「仙流荘」前のバス停にはザックを背負った人々が長蛇の列をなしていました。バスは次から次へと乗客を乗せて山道を登っていきます。散策目的の観光客や釣り人の姿もありますが、ほとんどは登山者です。

 北沢峠から10分ほど歩いた先にあるテン場は、あっという間に色とりどりの山岳テントに埋めつくされていきます。山行自体は日帰り登山がメインのエリアですが、ここをベースにすることで、一度の上山で甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳の両山を楽しめるのも人気の理由のひとつです。

明け方にかけて雨に降られました。夜明け前から出発する人、テントを干す人、さまざまです

 山小屋のスタッフをして「今シーズンイチ!」と言わしめる混雑具合です。北沢峠へ幾度となく通っている筆者ですが、かつて見たことのないほど広範囲までテント村が広がっていました。まるでテントの見本市のような光景です。密度も非常に高く、各テント間の隙間も本当に最小限です。隣同士の張り綱が交差するのも当たり前の距離感でした。

■登山計画は混雑具合も考慮するのが吉!

甲斐駒ヶ岳山頂直下。南アルプスの山々を背にする斜面は高度感あふれています。手前に摩利支天。奥には富士山も(過去写真)

 「槍ヶ岳と悩んだけど混雑していると思って、比較的空いていそうな甲斐駒に来たんだけど……」と、あまりの混雑っぷりに苦笑いしている人も。少々遅めに到着した大所帯の大学山岳部の部員たちは、ただでさえ場所がないのに伝統の大型テントゆえに張る場所が本当になくて右往左往していました(後ほど山小屋の人の計らいでいい場所に張ることができていました)。

 一般的なキャンプブームは落ち着いた感がありますが、登山のための幕営など、いわゆる“手段キャンプ”は日程によっては混雑必至。テン場の限られた山岳エリアならなおさらです。リスク回避の観点から“早出早着”は登山の基本ですが、快適な寝床をすみやかに確保し予定通りの山行を行うためにも、テン場選びやスケジュールをうまく組み立てるのも山行の成否の重要な要素ですね。

 今週末も再び連休が控えていますし、標高の高いエリアから徐々に紅葉シーズンが始まっていきます。山では一気に秋、天候によっては冬を思わせるような急激な温度変化もありますので、入念に計画を立てて安全登山を楽しみたいですね。