缶詰を開けた時に、蒸れたような匂いを感じることはないだろうか? 

 食品業界で「レトルト臭」と呼ばれているこの独特な匂いは、食品を容器に密封し、加熱することで発生すると言われている。缶詰が苦手という人に話を聞くと、味よりもこのレトルト臭に抵抗がある人が多い。

 じつはこのレトルト臭は、調味料を足したり、とある食材を加えることでほぼ解決できる。以前、油脂類をちょい足してマスキングするテクニックを書いたので、今回は食材を加えてレトルト臭を抑える方法を紹介しよう。

■同系統の匂いで勘違いさせる

加熱した卵を加えた例。左:ツナ缶。右:代替肉のハンバーグパティ缶

 じつはゆで卵などの加熱した卵は、肉や魚を使った缶詰のレトルト臭にかなり有効であります。

 卵は加熱すると硫黄っぽい匂い(硫化水素)を発生させるが、肉や魚にも硫黄っぽい匂い(含硫化合物)が含まれていて、それがレトルト臭の原因になっている。なので、その両者を一緒に食べると、レトルト臭を卵の匂いと勘違いしてしまうのだ。同系統の匂いをあえてプラスする、「同調」のテクニックであります。

 加熱した卵は、最近増えてきた代替肉とも相性が良い。代替肉の原料は主に大豆なので、加熱後も豆腐チックな匂い(含硫化合物)がする。目玉焼きなどをトッピングするとその匂いが抑えられ、より肉っぽい感じになると思う。