街は寒い日と暑い日を繰り返しながら、徐々に春らしさが感じられ始めた今日この頃ですが、山の上はまだまだ雪の世界。日中は暖かな春先でも、朝夕は氷点下にまで冷え込むことも珍しくありません。

 そんな環境に慣れていないと苦労するのが、バーナーの扱い。寒い場所ではドロップダウンと呼ばれる現象が起きやすく、火力が低下して使えなくなってしまうのです。

 ドロップダウン対策をネットで検索してみると、ガス缶をお湯で温めたり、振ったりしながら使うなどのテクニックが出てきますが、じつはこれらは大変危険なNG例。ここでは安全にバーナーを使うための、正しい知識とドロップダウン対策をお伝えします。

■原因を理解して対策を考えてみよう

 対策を考える前に、そもそもドロップダウン現象はなぜ起きるのかを理解しましょう。

 燃料缶の中には液体状のガスが入っていて、バーナーを点火すると気化したガスが燃焼します。外気温が低いと燃料缶が冷やされてしまい、この液化ガスが気化するための沸点に近づいてくるとガスが気化されづらく(出にくく)なってしまうため、火力が低下してしまうのがドロップダウン現象です。

 気温が低くなくても、連続使用することで液化ガスの気化熱(液体が気体になるときに熱が奪われる)により燃料缶が冷え、同じ現象が起きます。

見た目は似ているが、中身のガスの種類(割合)に違いがある

 もっとも一般的な対策の1つは、パワーガスと呼ばれる寒さに強いタイプの燃料缶を選ぶことですね。

 ノーマル缶と比べると、寒さに強いタイプには沸点が低い種類のガス(プロパン)の割合が多く詰められています。プロパンガスを詰めると缶の内圧が高まるため、一般的なカセットガス缶(CB缶)よりも構造上丈夫なアウトドア缶(OD缶)の方が寒さに強いと思われがちです。が、近年はプロパンの割合を高められる構造のCB缶も登場しているので、缶の形状だけで寒さに対する強さは判断できません。

大きいサイズの方が寒さに強いが持ち運びは不便。使用目的ごとにバランスを考えて選ぶのが大切

 形状よりも重要なのは、燃料缶の大きさです。

 バーナーの燃焼中は、常にガスの気化熱によって燃料缶は冷やされ続けます。そのため、同じ種類のガスであれば容量の小さなものよりも、大きなサイズの方が冷えるスピードが遅くなり、火力の低下は起きづらくなります。

 同じ理由から、使いかけのガスの残量が少ない燃料缶よりも、満タン状態の新品の方がドロップダウン現象が起きにくいと言うこともできます。