「山奥で冬の時期にしか咲かない黄色い花」を皆さんはご存じだろうか。こんなことを言うと、まるで日本昔話や童話に出てくるような空想の話かと思うかもしれないが、実は北海道から本州の山野で咲く、実在する花のことである。その名は「フクジュソウ(福寿草)」だ。草花に詳しい人なら耳にしたことがあるかもしれない。黄色く輝くように咲く花の姿は見ているだけで、「福が来る」と思えるほど美しい花だ。

 今回は高知県在住の筆者が、毎年2月に高知県大豊町で行われる「福寿草まつり」と、山奥の絶景が楽しめる民宿の魅力をご紹介する。

福寿草まつりでは可憐に咲くフクジュソウを近くで見ることができる

■冬の時期に咲く「幻の花」フクジュソウ!

フクジュソウが群生している場所は日本でもあまり多くなく珍しい

 フクジュソウとは、キンポウゲ科の多年草である。早春に黄金色の花を咲かせることから、新年の季語にもなっており、古くは江戸時代から日本各地で自生している草花。

 名前の由来はいくつかあるが、長い冬から春を告げる花として「福告ぐ草(フクツグソウ)」という呼び名が変化して、フクジュソウと言われているそうだ。また、旧暦の正月(2月)頃に咲き始めることから「元日草(ガンジツソウ)」と呼ばれることもある。

 落葉樹林の下に生えることが多く、黄金色の花びらが20~30枚ほど重なった姿は輝くように美しい。店頭に出回るのは促成栽培されたものが主流で、自生している場所は全国で一部しかないため見るのに苦労する、まさに「幻の花」といえる。

■高知県大豊町で見られるフクジュソウ

毎年2月頃に福寿草まつり(入園料:500円)を開催している福寿草の里

 筆者の住む高知県では、いくつかの場所で見られるフクジュソウだが、どこも険しい山間部だ。その中でも簡単に見ることができるスポットが、高知県大豊町南大王にある「福寿草の里」である。

 標高800mに位置するこの場所では、毎年2月ごろ「福寿草まつり」が開催され、約2万ヘクタールの田畑のあぜ道に、5万株以上のフクジュソウが一面に広がるという。2024年は2月10日(土)~3月3日(日)まで開催予定。筆者は2023年の福寿草まつりへ訪れたが、黄金に輝くフクジュソウの絨毯に多くの人が目を奪われていた。

黄色く輝くフクジュソウ目当てに多くの人が訪れる

 会場は遊歩道になっていて、可憐に咲き誇るフクジュソウを見ながらハイキングが楽しめる。一部、急斜面や足場の悪い場所もあるので、歩きやすい運動靴で訪れることをおすすめする。

 坂を上った先にある「蛇躰神社(じゃたいじんじゃ)」の横には休憩スペースがあり、「田舎風ちらし寿司」や、いろりで炙った「豆腐の田楽」などの軽食が有料でいただける。標高800mを超えており、南国高知でも氷点下や積雪のある日もあるため、道路状況を確認し厚着で訪れてほしい。

福寿草まつり期間中は飲食店やお土産の出店も実施されている

【福寿草の里】
住所:高知県長岡郡大豊町南大王
電話番号:090-8972-6225(氏原)

URL:https://tosareihoku-kanko.com/topics/2024/01/89861/

●【MAP】福寿草の里付近