金時山(きんときやま)は、神奈川県南足柄市(みなみあしがらし)、足柄下郡箱根町、そして静岡県駿東郡小山町(すんとうぐんおやまちょう)の境界に位置する標高1,212mの山で、日本三百名山の一つに数えられている。複数の登山道があり、初心者から中級者まで楽しめ、山頂からは富士山をはじめ駿河湾(するがわん)や大涌谷(おおわくだに)の噴煙を望むことができる。

■金太郎伝説の残る金時山登山コース

乙女峠から長尾山を経て、金時山を目指す約3時間のコース(国土地理院地図より引用)

 金時山は山頂から眺める富士山の絶景で人気だが、「金太郎伝説」の発祥地としても知られている。

 金太郎は南足柄に生まれ、金時山を自分の庭のように遊び回りながらすくすくと育ち、動物たちと交流し逞しく成長したと伝えられている。金時山山頂の頂上標識となっているまさかりのオブジェは、人気の記念撮影スポットだ。

●乙女峠へのアクセス

 乙女峠(おとめとうげ)は、神奈川県箱根町と静岡県御殿場市の境に位置し、古くから富士山の眺望に優れた景勝地として知られている。

 都内から最も快適なアクセスは、高速バスだ。バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)から小田急ハイウェイバスの「新宿ー御殿場・箱根線」に乗車し約2時間で「乙女峠」バス停に着く。週末は交通事情で遅れが生じる場合があるので、早めの行動を心がけよう。乙女峠バス停から乙女峠までは、国道138号線沿いを徒歩で約5分ほどだ。

●金時山登山コースタイム

登山道を彩るトリカブト。根や茎に猛毒を宿す危険な植物だが、花は鮮やかできれいだ

【乙女峠からの金時山縦走コース】所要時間
乙女峠バス停 (0:00) → 乙女峠 (0:40) → 長尾山 (1:15) →金時山 (2:05) →矢倉沢峠分岐 (2:45) → 金時山登山口(3:05)→金時登山口バス停(3:15)
歩行距離:約4.7km
累積標高差:登り 503m、下り 652m
合計所要時間:3時間15分

■富士見登山の人気スポット「金時山」登山レポ

箱根の街並みと、大涌谷の噴煙も一望できる

●乙女峠登山口から乙女峠と長尾山を経て、金時山へ

 高速バスに揺られること2時間、乙女峠バス停に到着だ。バスから降りると、さっそく大きな富士山が目に飛び込んできて、この先の金時山山頂の展望に期待が膨らむ。

 バス停のそばにある乙女峠登山口の標高は813m。まずは乙女峠を目指そう。40分ほどゆるやかな坂道を登っていく。足元には、色鮮やかな「ヤマアジサイ」や「トリカブト」が花を咲かせ、目を楽しませてくれる。

 乙女峠にはベンチが備えられており、展望もよい。先の長尾山まではさらに30分ほどかかるので、小休止していくといいだろう。

 乙女峠の標高は1,105m、長尾山(ながおやま)は1,145mだ。目指す金時山が1,212mなので、数値だけ見ると標高差はさほどないように感じるが、ピークごとにアップダウンがあり、累積標高差は500m超になるので油断は禁物だ。

 長尾山から金時山は50分ほどの道のり。道中は花を愛でたり、ときおり開ける景色を堪能して一歩ずつ進んでいこう。

青紫の小さな花が目を引く「ヤマアジサイ」