5月に入り、日本一標高の高い場所にある湖「中禅寺湖」にもようやく春らしさを感じられるようになってきた。湖畔に咲く「オオヤマザクラ」や「アカヤシオ」の美しさに歓声を上げる観光客の姿を多く見かける。

 ともすると春のシンボルとしてこれら陸上の草木ばかりが注目されがちだが、実は水の中にも春がやってきていることをご存じだろうか。

 今回はそんな中禅寺湖に春の訪れを知らせる風物詩「ワカサギパターン」の釣りについて紹介したいと思う。ワカサギパターンは中禅寺湖に20年通い続ける筆者オススメの釣りである。中禅寺湖が初めてという方でも大物をキャッチできる可能性がとても高いので、ぜひチャレンジしていただきたい。

■ワカサギパターンは中禅寺湖に春を知らせる風物詩

水際で産卵行動が見られる中禅寺湖のワカサギ

 中禅寺湖では毎年春(5月を中心とした前後半月ほどの期間)になると、湖岸線近くの浅瀬で多くのワカサギが見られるようになる。これは産卵行動によるもので、ときには何百匹ものワカサギが黒い帯状になって水際を埋め尽くしている光景を目の当たりにする。

 通称「ワカサギの接岸」と呼ばれているこの現象は、ワカサギを主要なエサのひとつとしているトラウトたち(中禅寺湖ではレイクトラウト、ブラウントラウト、レインボートラウト、ホンマスなど)にとっては見逃すことのできない一大イベントである。

中禅寺湖では例年5月にワカサギの産卵がピークを迎える

 普段は湖の深いところに生息しているトラウトだが、この時期ばかりはワカサギの群れを追って岸近くの浅瀬に寄ってくる。

 そして、この状況は筆者のような岸釣りアングラー(岸からトラウトを狙う釣り人のこと。)にとっても見逃せない大イベント。他の季節に比べてトラウトをキャッチできる可能性が数段アップする「確変」ともいうべき状況である。

 ワカサギを目当てに岸寄りしてきたトラウトが相手なので、彼らを釣るにはワカサギを模したルアー(疑似餌)がとても効果的である。この釣りのことをアングラーたちは「ワカサギパターン」と呼び、春の風物詩として毎年楽しんでいる。