■世界でも珍しい自然現象「流氷」を間近で観察

 2024年1月19日、北海道紋別市で今年初の流氷が観測され、紋別市の流氷接岸の初日を迎えた。日本ではオホーツクの観光資源として活用されている流氷だが、実は世界でもカナダの一部地域や北極海などの限られた場所でしか見られない、珍しい自然現象である。

 さらに、1時間程度のクルーズで手軽に流氷を観察できる地域は日本以外になく、北海道を含めたオホーツク海一帯は世界的にみてもかなり貴重な場所といえる。

 そんな希少な流氷を間近に観察でき、さらに流氷を破砕する様子も体感できるアクティビティが、流氷砕氷船「ガリンコ号」だ。今回は、手軽な冬のアクティビティとして、冬のオホーツク海でしか見られない流氷と流氷の海を突き進むガリンコ号に乗船した様子をレポートする。

■サンライズ便で朝日と流氷の共演を体感!

 今回は、筆者が2023年3月5日に朝日と流氷の絶景を見られる「ガリンコ号III IMERU」のサンライズ便に乗船した様子をレポートする。

 早朝5時30分に出航するサンライズ便に乗船。帰着まで約1時間程度の船旅である。真冬、しかも早朝の北海道はまだ暗く、寒さで心が落ち着かない。

 夜明け前の暗い中での出航だが、船首(船の先頭側)には流氷を見ようと大勢の乗船客が集まった。しばらく進むと、海の上に氷の塊が漂っているのが見えた。海上で見ると大きさがイマイチ分かりにくいのだが、近づくにつれて流氷の大きさに驚く。

洋上では比較するものがないので大きさがピンとこない
船が流氷に近づくと、想像していたよりもかなり大きいことが分かる
朝日と流氷のコラボレーション

 朝日に照らされた流氷を眺めていると、その美しさに時間を忘れてしまうほどだった。早起きが報われた瞬間である。朝焼けのグラデーションと流氷も美しい。

早朝の光に照らされた流氷

 流氷は、ガリンコ号に搭載された巨大なドリルで破砕する。「ガリガリガリガリッ」と大きな音と共に流氷を砕いていく様子は迫力満点である。

少し分かりにくいが、写真右側に見えるドリルで破砕していく

 どうやらこの日は全体的に流氷が少なかったようだが、条件が整うと一面流氷に覆われた壮大な景色に出会えるという。

■ガリンコ号乗船のポイント

 ガリンコ号乗船のポイントを紹介する。特にサンライズ便は運行のタイミングが限られるため、事前のチェックが必要だ。

●運行期間と時間

 流氷を間近に見られるガリンコ号の出船は、1月中頃から3月頃まで冬季限定のアクティビティとなっている。今季は1月16日〜3月31日の期間で運行を予定している。

 ただし、朝日と一緒に見られるサンライズ便は、2月1日〜3月3日の土日祝日のみの運行となっており、時期によって出航時間が5時30分と6時30分になるため注意が必要だ。

 また、サンライズ便はないが「ガリンコ号II」という砕氷船も同時に運行。いずれも運行時間は1時間程度で、場合によっては1時間30分かかることを覚えておこう。

■サンライズ便の乗船について

 ガリンコ号の乗船場所である海洋交流館までは、紋別市内の近隣のホテルから車で約10分程度。受付は乗船1時間前から15分前まで。当日空きがあれば乗船可能だが、事前予約をおすすめする。

 また、流氷を間近で思いっきり体験したいなら、出船30分前には乗り場に到着して列に並び、乗船直後に船首(船の先頭)のポジションを確保したい。

 船首からは流氷を砕く大きな音と共に、美しい景色を見ることができる。ただし、他の方々も見られるよう譲り合う配慮をお願いしたい。

今回乗船した「ガリンコ号III IMERU」

■まとめ

 天候や状況によっては欠航はもちろんのこと、出港しても流氷を見られない場合もある。自然現象のため迫力の景色が見られるかどうかは運次第なところが大きいが、世界でも珍しい流氷クルーズは一見の価値ありだ。興味ある方は今年の冬、極寒の北海道で大迫力の流氷体験をしてみてはいかがだろうか。

 また、冬のオホーツク海の早朝は極寒であるため、耳まで隠れるニット帽や手袋などの防寒対策を万全にしておこう。

 なお、サンライズ便の下船後は体が冷えているため、付近の店舗で温かいものをいただきたいところだが周辺の店舗は早くても9時〜の開店となっている。よって下船後は、温泉と朝食が楽しめる宿泊先(ホテルなど)に戻って体を温めるのがおすすめ。

ガリンコ号運行状況:https://o-tower.co.jp/garinkogo.html

●【MAP】もんべつ海の駅(ガリンコ号乗船場所)