サウナを温めるためのストーブ(熱源)は、大きく分けて「電気、ガス、薪」の3つに分類される。

 温浴施設では手間が少ない電気やガスがほとんどだが、アウトドアが舞台のテントサウナの熱源は、もちろん薪である。薪は入手や準備も含めて手間がかかる反面、本質的なサウナの良さを体感できる唯一無二の熱源で、サウナの本場フィンランドでは「薪ストーブじゃなきゃサウナじゃねえ!」とこだわる人も多いのだ。

 では、薪は電気やガスに比べてなにが違うのか? 僕はその魅力は4つあると考えている。

■魅力1:ゆらめく炎によるリラックス効果

 1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)という言葉をご存知だろうか?

 たとえば小川のせせらぎや木々のゆらぐ音、蛍の光の点滅、木漏れ日などなど……。細かい説明は割愛するが、人間の生体リズム(心拍間隔)と共鳴して心を落ち着かせる聴覚的&視覚的ノイズが1/fゆらぎであり、その際たるものが「炎のゆらぎ」である。焚き火はいつまでも眺めてられるし、次第に心も穏やかになってくる。さらに人と火を囲むと、つい心を開いて普段話さないような会話をしてしまうことがある。

 それが、まさに1/fゆらぎ効果なのだ。

炎をはじめ、アウトドアサウナには心地いい“1/fゆらぎ”が多く潜んでいる

 テントサウナに薪を使うと、ストーブの炎を眺めているだけで心地いいし、薪がパチパチとはぜる音もいい(電気のチリチリ音や、ガスの工業感とは比べものにならない癒し)。黙浴が多い温浴施設のサウナとも違い、プライベートなテントサウナだと焚き火効果もあって仲間との飾らない会話も弾み、長く入ることができて高確率でととのうことができるのもいい。

 しかも川サウナの場合は、外の世界にも川のせせらぎ、木々のゆらぎ、鳥の声などの1/fゆらぎが溢れている。街の温浴施設では決して味わえない、圧倒的なリラックス効果があるのである。