無雪地域に住んでいるウィンタースポーツ好きの人なら誰もが一度は考える雪国生活。滅多に雪が降らない千葉県に住んでいた筆者は「雪国って大変そう」と思いつつも、じつは雪国生活に少し憧れを抱いていた。

 5年前、筆者は夫の仕事の都合で秋田県の沿岸地域に移住した。雪国の中では比較的積雪量が少ない地域だが、いざ住んでみると思ってもみなかった大変なことや「想像と違う!」と思った出来事がたくさんある。車必須の地域に住んでいるので、車関係で苦労することも多い。

 この記事では、雪国のリアルな車事情を紹介する。

■雪国ならではの車に関する出費

 雪国では雪の降らない地域よりも車に関する出費が多い。それは予想していたが、想像していた以上に出費が多いことに驚いた。

●タイヤに関する費用

雪国の家にはシーズンオフのタイヤや雪かき用品を収納するための物置がある(撮影:鈴山まき​​)

 雪国ならではの車関係の出費として、最初にスタッドレスタイヤを思い浮かべる方も多いだろう。タイヤの費用は車種やタイヤの種類によって大きく異なるが、安全に関わるので値段よりも性能を確認して購入することをおすすめしたい。

 そして、毎年11月頃と4月頃の2回、タイヤ交換(付け替え)が必要だ。ディーラーやカー用品店などで、普通車1台分5000円前後(タイヤ持ち込みの場合)で作業を依頼できる。

 また、シーズンオフのタイヤを収納する物置も購入する必要がある。

●スノーブラシ購入費

車の雪下ろしに活躍するスノーブラシ。柄が伸縮するものは車に乗せやすい(撮影:鈴山まき​​)

 雪国のホームセンターでは、写真のような車の雪を降ろすためのスノーブラシが2000円前後で売っている。出かける前に使うだけでなく、出先でも車に積もった雪を下ろすのに活躍するので、車載用と家用の2本あると便利だろう。

 車の雪下ろしを楽にするため、カーポートや車庫を設置する人も多いが、車2台分の積雪対応カーポートで50~100万円ほどと、これにもまた多くのお金がかかる。

●冬は燃費が悪い

 筆者の感覚では、雪が降るとガソリンの減りが1.5倍くらい早くなる。理由の1つは、運転前にエンジンをかけて車を暖め、窓についた雪や霜を落とす「暖気運転」をする必要があるから。

 また冬は道路状況が悪く、シャーベット状やフカフカの雪の上を走ることも多い。このような状況では、通常よりもアクセルを踏まないと前に進めないので、燃費が悪くなるのだ。

 雪道ではスピードを控えて走るため、雪がない時期と比べて目的地に着くのに1.5~2倍くらい時間がかかることも考えておかなければならない。

●冬用ワイパーもあるとよい

 長年雪国に住んでいても冬用ワイパーを使わない人もいる。そのため、筆者も最初は夏用ワイパーで冬を過ごそうとしていた。

 しかし、雪の日に30分ほど連続して運転したとき、ワイパーに氷が付着してどんどん視界が悪くなるという恐ろしい体験をした。短距離なら夏用ワイパーでも大丈夫かもしれないが、長距離を走るなら冬用ワイパーが必要だと実感し、すぐに冬用ワイパーを購入した。価格は車やワイパーの種類にもよるが、1本3000円前後である。

●防錆塗装(アンダーコーティング)と下部洗浄

 雪国では道路に凍結防止剤として塩化カルシウムが撒かれるため、車体の下部が錆びやすい。

 車を長持ちさせるためには、下回りの防錆塗装と、塩化カルシウムを流すための下部洗浄をした方がいいと、秋田県に長く住んでいる知人に教えてもらった。防錆塗装は、毎年秋のタイヤ交換時に行うことが推奨されており、1回2~3万円前後。下部洗浄はガソリンスタンドの洗車機で200円くらいなので、1か月に1回くらいは洗っておきたい。

●4WD推奨

 筆者は最近まで、2WDで車高が低めの車に乗っていた。筆者が運転に不慣れだったせいもあるが、道路にできた轍で車の腹をすったり、雪に車がはまったりと毎年大変な目に遭ってきた。

 今までの車は雪国で乗ることを想定して買ったものではなかったので、最近4WDの車に乗り換えた。今年の冬は快適に運転できるのか、今から楽しみだ。

 雪国では4WDのSUVだと雪道も運転しやすいようだが、このタイプの車は価格が高く、燃費もあまりよくないので悩みどころである。