思いもよらない寒の戻りで桜の開花は昨年より遅れている。一気に暖かくなって桜前線が北上する前に「桜もいいけど、ちょっと変わったお花見をしたい」そう思った筆者は、家族を連れて“黄色い妖精が舞う”森へ再び出かけてみた。シトシトと降り続ける霧雨の中、薄暗い森の中を歩いて歩いて……。春の歩き初めにぴったりなミツマタの小径を紹介したい。

■深山に輝く光の奔流! “屋敷山”群馬県桐生市

山全体がミツマタの群生地。甘い香りが漂う

 春を告げる花として知られているミツマタは和紙の原料の一つだ。三叉(みつまた)に分かれた枝先に花をつけることが名前の由来になっていて、満開になると丸いポンポンとした黄色の玉になる。薄暗い森の中に浮かぶように咲く姿は圧巻である。

 山間をいく県道337号線は、対向車が来るとかなり気を使う狭路だが、「屋敷山」に近づくにつれて山肌や民家の庭先にミツマタの姿がちらほら見える。峠の途中にある「根本山」登山口駐車場が、屋敷山ミツマタ群生地の駐車場も兼ねている。看板があるのでわかりやすい。

 屋敷山群生地までは舗装された県道を歩いていくので、スニーカーでも充分だ。少々の雨でもが使えるので気楽に行ける散歩道という感じである。屋敷山自体がミツマタの群生地らしく、歩き始めるとすぐに薄暗い林の中にほんわりとミツマタの姿を見ることができた。

緩いカーブを抜けると、そこには桃源郷のような景色が広がっていた

 県道の緩いカーブを過ぎると甘い香りが辺りに漂っていた。曇り空の下、林全体が光を放っているかのような見事な大群落がそこに待っていた。遊歩道も丁寧に整備され、ミツマタのお花畑に包まれるように歩くことができる。圧巻の光景をぜひ目撃してほしい。

●【マップ】屋敷山ミツマタ群生地