いつの間にか、日本はホットサンド大国になっていた。専用のホットサンドメーカーは20種類以上発売されていて、直火式のほか電気式も多種多彩。SNSにはレシピがあふれ、食事からスイーツ、酒のつまみまでなんでも揃う。なかにはかなり凝った料理もあって、写真を見るだけでよだれが出そうだ。

 でも、アウトドアで作るのなら、用意する材料と手間は少ないほうがいいよなァ。そこでわたくし、思いつきました。「グルメ缶詰」を具材にするのであります!

 グルメ缶詰というのは、例えば国分の「缶つま」や明治屋の「おいしい缶詰」のような、ちょっと良い缶詰のこと。どれも原材料と調理法にこだわって作られているので、それをベースにして手を加えれば、きっとゴージャスなホットサンドができるだろう。そうと考えて自宅の缶詰棚を眺めると、2つの缶詰が目にとまった。海老のアヒージョと、明太子入りのコンビーフハッシュだ。

■殻ごと食べられるエビのアヒージョ

極洋「海老のアヒージョ」の外観と内観

 極洋「海老のアヒージョ」は、今ではかなり珍しくなったエビの缶詰である。

 かつてはむき身のエビを水煮(塩水で煮る)にした缶詰があったけれど、食感がボソボソしていて、正直あまりおいしくなかった。平成になってからも一種類だけ販売されていたものの、その後は絶滅していたのだ。

 そんなエビ缶を、極洋はアヒージョという手法で復活させた。加熱後も油に浸ったままのエビは、身がボソつかず、しっとりしたまま。殻ごと使っているからうまみも出ていて(エビのうま味は殻にあるのだ)、その殻も高温加熱によって柔らかくなっているから食べられる。尻尾はやや固いけど、奥歯でかめば砕ける固さだ。一緒に入っているマッシュルームもみずみずしくておいしい。

 また、缶に入っている油が少ないのもホットサンド向きなポイント。油にはエビのうま味が移っているから、パンに染みこませれば残さず使えそうだ。