今回は釣り物の少ない冬でも大物狙いが楽しめる、荒川(あらかわ)のハクレン釣りについて紹介したいと思う。他の釣りと比べて釣りやすいこと、さらに初心者でも大物が狙えるということで、YouTube動画(有名芸能人も投稿している)やブログ記事などが多数アップされているので、この釣りに興味をもっている方は多いのではないだろうか。

 この記事では筆者が使用したタックルのほか、必要な道具などについても紹介。これから荒川のハクレン釣りに挑戦してみたいと考えている方は、ぜひこの後の内容にも目を通していただきたい。きっと参考になるはずである。

今回は荒川でハクレン釣りを楽しんだ

■原産地の中国ではポピュラーな食用魚

ハクレンは中国原産のコイ科の大型淡水魚

 ハクレンは中国原産のコイ科の淡水魚。日本には、明治~昭和にかけて食用として中国から移殖されたソウギョ(草魚)と呼ばれるコイ科の淡水魚に混じって入ってきたのが始まりとされている。現在は、関東の利根川水系(利根川、江戸川、霞ヶ浦など)で自然繁殖していることが確認されている。

 中国では古くからハクレンが家庭料理でよく食べられており、大衆魚を意味する「四大家魚(よんだいかぎょ)」(ハクレン、コクレン、ソウギョ、アオウオ いずれもコイ科の淡水魚)のひとつにも数えられるほどポピュラーな魚。しかし、水産資源に恵まれた日本では魚の選択肢が多いためか、食用としての人気はほとんど出なかった。

 日本では近年、その大きさ(大きいもので体長1m以上、体重10kg以上)の魅力から、釣りのターゲットとして一部のファンから人気を集めている。ちなみに、ハクレンの主食は植物プランクトンや藻類(アオコなど)などで、魚体の大きさに似合わずベジタリアンである。毒などは持っていない。

■釣行先は、埼玉県戸田市を流れる荒川

奥に見える流れが荒川で手前は荒川につながる水路。今回ハクレンを狙うのは水路である

 今回、筆者がハクレン釣りに訪れたのは、埼玉県戸田市を流れる荒川(管轄は埼玉南部漁業協同組合)。ハクレンが自然繁殖している利根川や江戸川とも水路などを介してつながっているため、荒川にもハクレンは多く生息している。

 ポイントのすぐ近くには、終末処理場(下水を浄化して川に流す施設)があり、浄化された水が荒川へと放流されている。この浄化された水は冬場は荒川の水温よりも少し高いとされており、温かい水を好むハクレンが多く集まる場所としてよく知られている。

 以前、筆者が埼玉県に暮らしていた頃に、何度かここでハクレン釣りを楽しんだが、釣れなかったことは一度もなかった。それほど魚影が濃かったのだ。しかし、あれからもう何年も経っている。果たして昔のようにハクレンは釣れるだろうか。春には少し早い3月に荒川を訪れた。

■タックルは、強い引きにも負けない丈夫なものが必要

述べ竿でハクレンの強い引きに耐える釣り人。このあと見事、取り込みに成功していた

 このポイントで釣れるハクレンのサイズは、平均でも体長80cm以上(体重は推定10kg前後)、なかには1m超え(体重は推定15kg前後)の個体も珍しくない。このためハクレン釣りで使用するタックルにはある程度強くて丈夫なものが必要となる。

 ハクレンは急に向きを変えて激しく暴れまわる青物のような魚ではない。自らの体重を利用してゆっくりとどこまでも突き進む重戦車のような魚である。そんな相手に主導権を握られずにネットインまで持ち込むためには、まずはその重量感のある動きを止めて、こちらに頭を振り向かせる必要がある。当然、ロッドにはそれを行えるだけの大きなパワーが必要で、もしそれがなければ取り込むのは難しいだろう。

 現地では、長さ5~6mの述べ竿(コイ用などの大物竿)を使ってハクレンを狙う人のほか、長さ4~5mの磯竿(スピニングリール竿)を使用している人を多く見かけた。あいにく筆者はどちらも持ち合わせてなかったため、長さ3mの海用の丈夫なショア・キャスティングロッドを使用した。

 ちなみに、今回のポイントは荒川の河口から30kmほど上流に位置している。潮の満ち引きの影響を受けるため、川の水位も時間と共に大きく変化した。このため干潮時には水面が低くなり、立ち位置との間に2m以上の高低差が生じることもあった。もし釣った魚をランディングネットで取り込むことを考えるならば、ネットの柄の長さは3m以上に伸ばせるものを用意できると安心だろう。

筆者の使用タックルと大型ランディングネット。ネットの柄の部分は4mまで伸ばせる

 筆者が使用したタックルと道具は以下のとおりである。

【使用したタックル】
(遊動ウキ仕掛け) 
・ロッド:海用のショア・キャスティングロッド 3m ※ 磯竿2号前後、シーバスロッドでもよい
・リール:スピニングリール 2500番 ※ ベイトリールでもよい
・ライン:PEライン 2.5号 100m ※ ナイロンまたはフロロライン5号前後でもよい
・リーダー:フロロライン 5号 4m
・ウキ止め(上):ウキ止めゴム
・シモリ玉:ウキ止め用のシモリウキ
・ウキ:チヌ用の棒ウキ(遊動式) 5B 自立式 ※ 非自立式の方が細かいアタリが取りやすい
・ウキ止め(下):ウキの絡み防止用のストッパー
・ヨリモドシ:強度30kg
・ハリス:フロロライン 4号 30cm
・ハリ:伊勢尼14号(管付き) ※チヌ8号前後(管付き)でもよい
・エサ:マッシュポテト(練りエサ)
※ ロッドの長さが4m以上ある場合は、遊動ウキではなく固定ウキの方が扱いやすいだろう

【その他の道具】
・ランディングネット:魚をすくうためのネット 。柄の長さが4mまで伸びる
・アンフッキングマット:写真撮影の際に魚を傷つけないために敷く厚手のマット
・折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
・水汲みバケツ:ロープ付きのものがおすすめ
・エサボウル:エサのマッシュポテトを練る際に使用。洗面桶(おけ)や調理用ボウルでもよい
・計量カップ:エサのマッシュポテトと水を計量する際に使用。サイズは100ccほどでよい
・タオル:濡れた手を拭くのに使用
・ライフジャケット:水難事故防止のため

今回使用した遊動ウキ仕掛け。ウキ止めゴムの位置を調整すれば、自由にウキ下を変えられる。ウキ下は水深の半分にした
その他の道具。左上から時計回りに、水汲みバケツ、マッシュポテト、計量カップ、エサボウル