白銀の世界の中、雪を踏みしめて歩く雪山登山は冬を代表するアクティビティだ。しかし、本格的な雪山登山は装備や体力、経験や知識が必要でハードルが高い。

 筆者も本格的な雪山登山は挑戦できていないが、危険箇所が少なく本格的な装備や知識を必要としない、「雪山入門」に適した山でスノートレッキングを楽しんでいる。

 山梨県から長野県にまたがる、八ヶ岳連峰の標高1,880mの渋の湯から標高2,249mの高見石展望台までのスノートレッキングコースは、軽アイゼン、もしくはチェーンスパイクを装備すれば初心者でも挑戦しやすく、雪山入門に適している。

 このコースは山頂を目指さない「トレッキング」であるものの、シラビソやダケカンバの林を抜けて岩の間を歩け、変化に富んだ景色と八ヶ岳ブルー、白銀の世界が楽しめる。今回はそんな高見石スノートレッキングの魅力とルートを紹介しよう。

■渋の湯から雪化粧をした原生林の中を歩く

 高見石スノートレッキングの入り口は、中央自動車道・諏訪南ICから約40分の場所にある「渋の湯登山口」。登山口の手前にある渋御殿湯にある駐車場に駐車料金(一日1100円)を支払い、車を停める。

 ここで防寒具や軽アイゼンの装着、荷物の確認をして登山の準備を整え、いざスノートレッキングへ。

渋の湯登山口からトレッキングスタート

 渋の湯登山口から高見石までは約2時間。まずは雪化粧をした原生林の中をひたすら歩く。傾斜は急ではなく、危険な箇所も少ないので、道迷いに気をつけながら景色を楽しみつつ、自分のペースで進んでいこう。

 筆者が訪れた日は天気がよく、風もなかったので歩きやすいトレッキング日和。サクサクと雪を踏む音を楽しみながら1時間ほど進むと、景色が開けて八ヶ岳ブルーの青空を拝める。

 夏場は岩場で少々歩きにくいエリアだが、雪で覆われているので歩きやすく感じる。とはいえ、気を抜かずに慎重に歩を進めていこう。

渋の湯登山口からは雪の林の中を歩く
林を抜けると広がる、八ヶ岳ブルーの青空

 原生林、開けた岩場と変化に富んだルートは、踏み跡があると迷いにくいが、雪で木や岩についてる正規ルートを示す印が見えないので、道迷いには十分気をつけよう。

 登山口から出発して約2時間ほど進むと、高見石小屋が見えてくる。ここは冬季も営業しているので、トイレや軽食休憩にもよさそうだ。

登山口から2時間ほどで小屋に辿り着く

 高見石小屋の裏手には展望台へのルートがあるので、小休止してから登ってみよう。ゴツゴツした岩に気をつけながら慎重に歩を進めてほしい。

 今回紹介するトレッキングコースは山頂こそ踏まないものの、高見石小屋展望台からの景色を楽しめる。雪に覆われた白駒池や八ヶ岳の山々、八ヶ岳ブルーの青空と白銀の世界は圧巻の一言。これぞ雪山トレッキングの醍醐味だ。

高見石小屋展望台からの景色を楽しむ

●渋御殿湯有料駐車場
【アクセス】
・中央自動車道/諏訪南ICから約40分
・JR東日本茅野駅からアルピコ交通渋の湯線(終点:約60分)
【駐車場料金】
・1日1100円(冬期/11月~3月は6:30より。その他の期間/4月~10月は6:00より)

■初めてのスノートレッキングは、八ヶ岳での渋の湯〜高見石展望台ルートで

 今回紹介した渋の湯から高見石展望台までのルートは、景色の変化を楽しめ、危険な箇所も少ないので雪山トレッキングルートに最適。とはいえ、今シーズンの南八ヶ岳エリアは雪山での山岳事故がいくつか報告されている。

 踏み跡がなくルートがわかりづらい、天候不良で視界が悪い、風が強い日などは山岳遭難のリスクが上がる。事前にしっかりルートと装備品、荷物をチェックして、途中で危険を感じたら撤退してほしい。

事前にしっかり準備をして、雪の八ヶ岳の景色を楽しもう

 往復4時間強で雪山初心者でも楽しめる渋の湯から高見石展望台へのスノートレッキング。ぜひ白銀の世界と八ヶ岳ブルー、雪化粧をした原生林の景色を楽しんでほしい。