■オリジナルの焚火台を簡単に作ろう!

 キャンパーにとって、焚火台は特別な存在だ。炎の輝きは心を和ませ、周囲を暖かく包み込む。その力強い炎が人々を引きつけ、物語を語りかける。焚火台は、仲間とのコミュニケーションを促し、お互いの話を聞く機会を生む。また、炎が照らす夜の暗闇は、自然の神秘を体感する機会でもある。

 自分だけのオリジナルの焚火台が作れたら、その焚火台を囲んで仲間とつながれば、キャンプの楽しさも一段と高まるに違いない! 筆者はそう思い立ち、一度は鉄板や金具、溶接機の準備をした。しかしそれは、溶接能力が求められる工作であり、誰でもできる簡単な手段ではないと気付いた。手作りのギアをキャンプで使う喜びを多くの人に体感してほしいという想いから、誰もが手軽に製作可能な方法を模索した。

 この記事では、溶接技術を必要とせず、シンプルかつ簡単で、誰もが挑戦可能な焚火台の作り方を探求し、自分だけの特別な焚火台を作る魅力を伝えたい。

■DIY焚火台の具体的な製作手順

 焚火台の製作に着手する前に、部材の選定と設計が重要だ。土台となるバケツの選定や金網の役割、ボルトの取り付け位置、耐熱塗料の用途を明確にし、安全性や機能性についても考えたい。焚火台の要件を満たす部材を選定したら、次は設計図を作成して、理想の焚火台の具体化に向けたステップが始まる。

 実際に筆者が行ったDIY焚火台の製作手順は以下の通りだ。部材選定、設計、製作、完成までの段階的な工程にて、重要なステップを整理した。筆者の考えたポイントを参考に、製作手順を把握してスムーズに作業を進めよう。

●焚火台への求める機能と性能

 焚火台の要求仕様を以下に整理する。

① 携帯性
・簡単に持ち運びできる。
・軽量でありながら、耐久性を持つ。

② 低コスト
・低コストで製作可能である。

③ 簡単な製作手順
・一般的な道具や技能を用いて、誰でも簡単に作ることができる。
・特殊な技術や専門知識が必要ない。

④ 炭火の二次燃焼
・炭火の二次燃焼を促進し、効率的に燃焼できる仕組みを持つ。
・二次燃焼により、煙や有害物質の排出を減らす性能を有する。

 上記の内容を考慮し、今回はトタンのバケツを土台として使用し、全体に耐熱塗装を施すことにした。

●焚火台の構造

 二次燃焼の性能向上を図るため、今回筆者はバケツの底部に水を貯める構造を採用した。このデザインでは、水と炭火の間に網を設置し、熱により水が蒸発することで炭火の下から空気が循環し、二次燃焼を促進する仕組みだ。

 さらに、網とバケツの間には空気穴を設けることで、炭火の熱により上昇する空気が網を通って上昇し、炎が吹き上がりやすい構造にした。この設計により、炭火の二次燃焼を促進し、燃焼効率を向上させる。図1に、上記コンセプトのデザインを記載する。

筆者が実際に作ったDIY焚火台のコンセプトデザイン

●部材選定とコストの検討

 次に、焚火台の構築に必要な材料や工具を選定する。予算内で製作するための計画を立てよう。今回使用する部材の品名、型名と価格を以下の表に示す。

 なお、筆者が使用する工具はこの製作だけに限定されるものではないため、あくまで参考としてほしい。今回の焚火台製作のために、筆者が新たに購入したバケツや網、塗料などの部材代は計3683円(税込み)だった。

表1:焚火台の部材・使用工具一覧