■歴史ある鉄道で秋の秘境へ

 日本一深く険しいV字峡として知られる黒部峡谷。後立山連峰の西、長さ86km、標高差(深さ)3000mを流れる黒部川の上・中流域に形成された大峡谷で、この中を縫うように走り抜けるのが「黒部峡谷トロッコ電車」だ。大正末期より水力発電所の資材運搬用に敷設された鉄道で、現在は峡谷の自然を体感できる観光列車として、春から秋にかけ、1日10便以上を運行し、人気を博している。

 今シーズン(2024年)は能登半島地震の影響により運行区間が宇奈月駅~猫又駅(途中駅)までの折り返し運行となっているが、車窓を流れる景色は変わらずに素晴らしい。山肌にはヤマモミジやハウチワカエ、イタヤカエデなどが赤や黄色に染まっており、常緑樹とのコントラストに心が奪われ、時間が経つのも忘れてしまうほどだ。

 沿線は絶景のオンパレードだが、撮影スポットが近づくと事前に車内アナウンが流れるので、撮り逃す心配はない。紅葉は、例年10月中旬より色づき始め11月中旬頃まで見頃が続く。澄んだ空気の中、鮮やかに染まる大峡谷と一体感を味わいながら、圧倒的な秋の大自然を堪能しよう。

●おすすめ撮影SPOT_01 鉄橋を渡る電車を「山彦橋」から

鉄橋を渡る電車を「山彦橋」から

 紅葉の峡谷にかけられた真っ赤な「新山彦橋」。ここをトロッコ電車が渡って行く様子は、鉄道ファンならずとも押さえたい情景あふれるシーンだ。撮影のベストスポットは旧線跡に残る「山彦橋」で、宇奈月駅から遊歩道でアクセス可能。

●おすすめ撮影SPOT_02 エメラルド色の「うなづき湖」に映り込む赤い湖面橋

エメラルドグリーンの「うなづき湖」

 柳橋駅が近づいてくると右手に見えてくる「うなづき湖」。鮮やかな赤の「湖面橋」と、それを映すエメラルドグリーンの湖、そのコントラストが美しい。また西洋の古城をイメージして造られた「新柳河原発電所」も黒部の印象的な風景のひとつだ。

●おすすめ撮影SPOT_03 深い渓谷を渡る高さ60mの後曳橋

後曳橋

 黒薙駅を出発直後に渡るのが「後曳橋」。両岸は相迫る絶壁で、かつて黒部奥山に立ち入る人がこの断崖に阻まれ後ずさりして引き返したことからその名がつけられた。沿線で最も急峻な谷間で、谷底からの高さは60m。スリリングな景観は圧巻だ。

●おすすめ撮影SPOT_04 雨天でも幽玄な美しさの出六峰

6つの峰がある「出六峰(だしろっぽう)」

 出平駅を過ぎ、しばらくすると対岸に6つの峰が高さを競いあうようにそそり立つ断崖絶壁の山、「出六峰(だしろっぽう)」が現われる。雨が降ると、ひときわゆったりとした世界に。雲が低くたなびく様子は、まるで水墨画のよう。

●撮影スポットMAP

●【CHECK POINT!】「鉄道の日」に記念イベント実施

記念イベントイメージ

 2024年10月13日(日)の「鉄道の日」、黒部峡谷トロッコ電車の鉄道部品販売や車庫見学会を実施予定。ここでしか見られないものや入手できないものも多く、とくに鉄道ファンには必見イベント。親子で楽しめるプログラムも満載。

●施設概要

黒部峡谷トロッコ電車
●距離/11.8km 往復所要時間/約100分
●営業期間/営業中~11/30(土) 無休
● 運行時間/宇奈月駅始発8:17~宇奈月駅終発14:56(時期により異なる)
● 料金/宇奈月駅→猫又駅 片道:大人1410円・小人710円
● アクセス/車:北陸道・黒部ICより約20分、電車:北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅から富山地方鉄道・新黒部駅に乗換え、富山地方鉄道・宇奈月温泉駅で下車。ここから徒歩5分で黒部峡谷トロッコ電車・宇奈月駅
●駐車場/350台・1日1000円  ※今シーズンは宇奈月駅~猫又駅での折り返し運行となります。
●住所/富山県黒部市黒部峡谷口11番地
●電話/0765-62-1011

黒部峡谷トロッコ電車 公式HP

●MAP

 

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