オーストリアやスイス、フランスと、国を跨いで横たわるイタリア・アルプスの山歩きの醍醐味をたっぷり体験できる場所が、Rifugio(リフージョ)と呼ばれる山小屋の数々である。

 モンブランやマッターホルン、モンテ・ローザ、グラン・パラディーゾ、さらにドロミティ山塊一帯に点在しているリフージョは、いずれも歴史ある個性的な山小屋ぞろいで、そこに足を踏み入れただけで自分もアルピニストの仲間入りをしたような気分にさせてくれる。ランチタイムに立ち寄るだけでも気分が上がるが、できれば一度は宿泊も体験してみて欲しい。今回は、そんなイタリアの山小屋の魅力と利用する際の注意点などをご紹介しよう。

■まずは登山ルート上にある山小屋をチェック

 アルタ・ヴィアはアルプスの山々をつなぐ高地の登山道の総称で、標高2,000m付近の尾根を縦横無尽に走っている。世界中のアルピニストに知られる有名なアオスタ渓谷の「アルタ・ヴィア1」は、別名「巨人達の登山道」とも呼ばれ、モンブラン、モンテ・ローザ、グランパラディーゾ、マッターホルンのヨーロッパ最高峰の山々の麓の尾根と渓谷を横断している。その気になれば、1週間でも2週間でも低地に降りることなく、山小屋に宿泊しながら4つの名峰を踏破することもできる。

 山歩きを始める前にその日に歩くルートをチェックするのは世界共通の必須事項だが、イタリア・アルプスを歩く時は、そのルート上にどんな山小屋があるのかを調べてからスケジュールを決めるのが得策だ。ルート上に食事が美味しいと評判の山小屋があったら、ランチタイムにそこへ着くようなプランにすると山歩きとグルメの両方を楽しめる。

 一方、ロケーションが最高の場所に位置する山小屋なら、宿泊を考慮してプランニングしたい。その場合は日暮れ前にその場所へ着くように時間配分をして登山コースを決めればいい。ルート上の山小屋の特徴を調べてから、どのコースを何時間くらい歩くか、山小屋ベースで登山プランを立てるのもイタリア・アルプスならではの楽しみ方だろう。

マッターホルンへ続くアルタ・ヴィアを歩く。山小屋を泊まり歩けば下山することなく高地を歩き続けることも可能だ
登山ルートの標識には、目印として「Rifugio(山小屋)」の名前が記載されている。地図を見ながらルートを確認したい時にも山小屋の名前は役立つので、登山プランニングの際には忘れずに山小屋の名前を覚えておきたい
味自慢の山小屋からロケーション最高の山小屋、アルピニスト羨望の伝説の山小屋まで、多彩なタイプがある。山小屋へ行くことを目的にプランを立てるのも楽しい