夏が終わると本州の多くの一般河川での釣りが禁漁になります。冬は渓流釣り愛好者にとって忍耐の季節なのですが、冬季釣り場や管理釣り場に通う釣り人も多いかと思います。自然渓流で一年中釣りができるフィールドへ出かけてきました。

■完全予約制のフライフィッシング専用フィールド

斜面を下り、最下流部の流れを見下ろすと青い水が滔々と流れていました。気分は完全に渓流釣りです

 埼玉県西部、秩父市にあるのが「秩父フライフィールド」です。「秩父さくら湖」から流れ出た浦山川の約800mの範囲が釣り場となり、自然河川をそのまま利用したフライフィッシング専用の管理釣り場です。冬季はニジマスを放流しており、一年中釣りをすることができます(水曜定休、年末年始の休業あり)。

 キャッチ&リリースで魚影も濃く、定員8人の完全予約制ですので、かなりのびのびと釣りを楽しむことができます。ネットでも予約状況を確認して申し込むことができるのもありがたいですね。

秩父漁業協同組合/秩父フライフィールド

■流れに見え隠れする魚影! 思ったより渋いぞ

冬の低い日差しに照らされた森が川面に影を落としています

 当日の朝、気温約2℃に対して水温は11.5℃でした。上流のダムから比較的温度の高い水を流してもらっているそうです。初めての場所だけにドキドキしながら、まずは最下流部へ向かいました。大きく蛇行した流れを岬のように張り出した斜面から見下ろします。ネット情報でチェックはしていたのですが、森を縫うように流れる渓相は想像以上に山奥のような雰囲気があります。ワクワクしながら、夢中でロッドを振り続けました。

 駐車場や釣りの途中に出会った釣り人に「ここの魚はサイズ以上に引きが強いのでティペット(ハリス)太い方がいいですよ」と言われていたのですが、その魚がなかなか釣れません。通常の管理釣り場で使うようなアトラクター的なフライを結んで水中を漂わせますが、まったく反応が得られません。なんとか魚信を得たいと、ティペットをどんどん細くして、ようやく釣れだしました。しかし、釣れるのは20cm程度の魚ばかりです。

 ソフトハックル(フライの一種)を流れに馴染ませてからスイングすると、ひったくられるようなアタリがありました。身をくねらせながら抗う魚体はなかなかのサイズです。重量感と激しいファイトに耐えきれずに数秒後に流れに消えていきました。流れに消えていく銀色の魚体、その残像が脳にこびり付いていました。