■五竜岳「武田菱」を眺め歩く遠見尾根

 北アルプス五竜岳東面の上部には、五竜岳の由来やトレードマークになっている「武田菱(たけだびし・菱形四つを菱形に組み合わせたもの)」に似た岩が見られる。北アルプスは春が近づくにつれ晴天が増えるため、訪れやすくなる。

 写真家・西田省三さん撮影の写真がきっかけで、筆者は長野県北安曇郡白馬村にある標高2,106mの尾根「遠見尾根」のダイナミックな眺望を知った。それからは毎年3月になると遠見尾根に行きたくなる。

赤丸で囲んだ辺りが、五竜岳の武田菱

■ゴンドラとリフトでスキー場最上部へ

 筆者が撮影したのは2021年の3月上旬。日帰りで遠見尾根に入山した。長野県白馬村へ着くと晴れており日差しも強く、春はもうそこまで来ていた。

エスカルプラザのリフトチケットセンター(写真提供:エイブル白馬五竜)

 ベースセンター「エスカルプラザ」から五竜テレキャビンを利用しアルプス平駅へ。その後、少し歩いてアルプス第1ペアリフトに乗り、降り立った最上部が遠見尾根への登山口だ。

長野県遠見尾根全景(国土地理院タイルを加工し作成)

 スキー場から西遠見山までは、雪山コースタイムで3時間程度。積雪量によっては雪庇が出ているので注意が必要だ。西遠見山手前には、冬季五竜岳登頂を目的とした登山者のテント泊跡が多数見られた。テントの跡からすぐの西遠見山から先は上級者のみとなるため、安易に立ち入らないこと。

 また、スキー場内を出たら本格的な雪山の装備が必要となる。筆者が使用した雪山装備を記入しておくので参考にしてほしい。

【衣服】メリノウールの肌着、ジップネックシャツ、ウールセーター、ミッドシェル、タイツ、ウールソックス(替えを持参)、雪山用の風を遮断するアウター上下(筆者はパタゴニアのシェルジャケット愛用)、ダウンジャケット
【雪山装備】輪かんじき、アイゼン(前爪のある10本以上のもの)、ピッケル、登山用ゴーグル、目出し帽、帽子、手袋(インナー・防水性の暖かい手袋、替え)、ネックウォーマー、雪山用の靴(断熱効果があり、アイゼン装着できるもの)、ゲイター(雪山用スパッツ)
【食料など】1日温かいまま保温できる水筒に入れた湯、行動食(ナッツ・パン、甘いもの)、非常食(カロリーの摂れるもの)
【その他】保険証、身分証明(免許証)、マップ、携帯電話、タオル、ティッシュ、ビニール袋、コンパス、カメラ、エマージェンシーキット、充電器、ヘルメット、ツェルト、ヘッドランプ、エマージェンシーシート