長野県内の河川は早いところで2月16日から渓流釣り解禁となります。「犀川殖産漁協」管内の犀川本流は、数少ない通年で(本流に限り)釣りが可能なフィールドです。この冬も多くの釣り人で賑わっています。ようやく冷え込み、まとまった雪も降り積もって冬らしい景色になった犀川。一番近いポイントまで自宅から5分足らずという恵まれた場所に住む筆者が、“セカンドシーズン”と呼ばれる秋から冬にかけての釣りの模様をレポートします。

■簡単にはいかないけれど…… 釣る人は釣っているセカンドシーズン

秋の紅葉の美しさは釣れない日々を癒してくれます

 秋から冬にかけて暖かく、釣りをする分には楽な日々が続いていました。水面を飛び交うコカゲロウやユスリカたちに混ざって、はらはらと飛んでは川岸の草に止まって休んでいるヒゲナガ(トビケラの一種)も見かけました。足元の水の中を覗けば小さな稚魚たちの群れが一斉に右往左往している様子が見受けられます。

 しかし、魚たちの活性が上がらないようで、釣り人で賑わうフィールドはかなりのハイプレッシャーのタフコンディションです。住んでいる場所としてはローカルと言っていいはずの著者ですが、何日も釣れない日が続いていました。恥ずかしながら、一日釣りを続けて一回でもアタリがあると興奮してしまうほどです。夏の高温と記録的な少雨による影響のせいでしょうか……。こんな年は今までにありませんでした。

 そんな中でも釣果を上げている人はいるわけで、賑わいだけは例年通りです。「魚より釣り人の方が多そう」 そう思っていると、対岸のエサ師が竿を曲げていました。かなり“走る”魚のようで、対応に苦戦している様子が遠目にも見てとれます。長い時間をかけて無事に取り込んでいました。羨ましさもありますが、自分の事ことように嬉しくなり、声をかけて健闘を讃えました。

■半ば諦めの境地!?  いつか来るその時を夢見て

冬の低い光が谷間をピンポイントで照らします。釣り人の姿にも励まされる日々

 木々の葉もすっかり落ちました。例年より暖かいとはいえ、さすがに冷え込みが厳しくなってきます。寒風に晒されながら川に立ち込んでの釣りは、名実ともに修行、いや苦行の域かもしれません。

 真冬は水位が下がり、しかも透明度が非常に高い! 少し高い位置から見下ろせば、川床の地形もよく見えます。普段は入れないようなポイントも攻めることができるのは楽しいのですが、一向に釣果につながりません。

 そんなコンディションですが、釣り人は多く活気があるのが嬉しく、また勇気づけられもします。出会う度に挨拶がてら釣果を聞いてみますが、やはり芳しくないようです。なぜかお互いに和やかな雰囲気なのがせめてもの救いです。もはや悟りの境地でしょうか? もちろん、釣れる人は釣れておりSNSなどで知人の釣果を見るたびにポイントを類推し、「今度こそは釣るぞ!」と思いまた川に向かってしまいます。