本格的にスノーシーズンが始まりました。スキーやスノーボードに行く前は、お気に入りのギアなどを準備している時から、遠足の前日のようにワクワクしてきますね。そんなギアの中に、いざという時、アナタの頭を守ってくれる大切な存在は含まれていますか?  そうヘルメットです!

 初心者だけでなく、上級者であっても転倒などによりケガをするリスクは常にあります。しかも頭部へのダメージは後遺症を残したり、最悪の場合、命に関わる問題ともなります。

 ヘルメットを着用していれば…… と思わせる悲しいニュースが毎年、届くのも事実です。楽しく、そして安全にスキー、スノーボードを楽しむためには“ヘルメット”はもはや必需品のひとつではないでしょうか。

■海外では当たり前、でも日本ではまだまだ低い着用率

海外に比べてまだまだ低いスキー場でのヘルメット着用率(出典:全国スキー場安全対策協議会)

 スキー、スノーボードともに年々とヘルメットの着用率は高まっています。「全国スキー場安全対策協議会」が発表している「2022/2023シーズン スキー場傷害報告書」(調査期間:2023年2月1日~2月28日 調査実施スキー場:46)によると、ヘルメットの着用率はスキー48.8%、スノーボード26.5%となっています。欧米では80%を超えるといわれる着用率に比べると、日本ではヘルメット着用に対する意識が、まだまだ低いのが現状かもしれません。

 一部、限定されたコースを除き、日本のスキー場ではヘルメットの着用を義務付けられているわけではありません。自己責任というわけではないが、やはり何かあってからでは遅すぎる。グローブやゴーグルを着けるのと同じようにヘルメットを着用するのが当たり前となってほしいものです。

■初心者やキッズにこそ着用を!  アナタの頭を守ってくれる頼もしい存在

転倒の多い初心者やキッズにはヘルメットはマストアイテム

 ヘルメットってオリンピックなど、テレビで見るアスリートが着けるものとイメージしている方もいるのではないでしょうか。もちろん、極限のパフォーマンスで競い合うアスリートにとって、頭部を守るヘルメットは欠かせないが、自身のカラダ(頭)を守るという意味では、趣味で滑っている我々にとってもその重要性は同じです。

 ちなみにですが、スキー、スノーボードのツアーを取り扱う大手旅行代理店ホームページ内に、初心者向けのコンテンツに持ち物の紹介内容があります。インナー類や保険証など初心者には役立つ情報が多数紹介されているが、1点、気になる部分がある。ゴーグルやグローブなどのアクセサリー類も紹介されている中、ヘルメットが入っていないところ。帽子の欄に、転倒した際に頭部へのダメージを軽減する効果もありと記載されているが、その効果には疑問を持たざるを得ないでしょう。レンタルショップを利用する方はヘルメットも合わせてレンタルしてみてはいかがでしょうか。

 特にスノーボード初心者には、いわゆる“逆エッジ”など、バランスが取れず、受け身の取れない状態での転倒がよくあります。他にも例を挙げればキリがないが、足を固定された状態で斜面を滑り降りるというウィンタースポーツにおいて、板のコントロールに不安のある初心者や子どもには、積極的にヘルメットを着用してもらいたいですね。

■キャップよりも暖かい!  かぶっているだけで快適なヘルメット

インナーは柔らかで暖かな素材で、着けているだけで快適

 動きにくそう、重そうと抵抗感のある方もいると思いますが、実際にかぶってみると、意外と軽快です。ゴーグルともしっかりとフィットし、安心感に包まれるといったところでしょうか。

  ビーニー(ニット帽)、キャップの方が暖かいと思われがちですが、ヘルメットはしっかりと風、雪も防いでくれ、柔らかくて暖かなインナー、イヤーパッドも付いており、暖かさはキャップ以上です。しかも通気機能(ベンチレーション)もあるので、蒸れるということもないでしょう。

■脳へのダメージを軽減してくれる最新の安全テクノロジー「MIPS」

ヘルメット内で特殊なライナーがスライドし、衝突時の脳へのダメージを軽減

 「MIPS(ミップス)」という言葉をご存知でしょうか。マルチディレクショナル・インパクト・プロテクション・システム(多方向衝撃保護システム)「MIPS」とは、ヘルメットに内蔵された薄いライナーが転倒や衝突時に、ずれるようにスライドすることで脳に伝わる衝撃を逃がし、軽減してくれるテクノロジーのこと。 

 直線的な衝突にせよ、ねじれを伴う転倒にせよ、このテクノロジーは有効。実際には衝撃を受けた時、1000分の2秒に数ミリしか、このライナーは動きません。しかし、このわずかとも思える動きが脳へのダメージを軽減してくれるという意味では、大きな動きといっていいでしょう。

 MIPSは多くのヘルメットブランドに採用され、もはや、アパレルでいうところのゴアテックス、シューズのソールでいうビブラムと同じように、ヘルメットの安全性能を高める定番テクノロジーのひとつとなっています。