冬の時期になると、JRの駅ではポスターが掲示される「青春18きっぷ」。この記事を読んでいる人の中にも利用経験者はいるのではないだろうか。筆者はこれまで10回以上「青春18きっぷ」を利用してきたが、利用未経験者にとっては、18歳以下限定のきっぷや一部の鉄道マニアが購入するイメージがあるかもしれない。しかし実際には「旅を楽しむ旅行者」や「若い女性のグループ」が活用する光景も度々目にする。今回は、「青春18きっぷ」ヘビーユーザーの筆者がおすすめする利用法を4つ紹介していこう。

■青春18きっぷの基本的な情報

青春18きっぷでは普通列車等が利用可能だ(乗車日2022年10月3日)

 まず「青春18きっぷ」の基本的な情報を記載しておく。「青春18きっぷ」は年3回発売され、今冬は2023年12月1日(金)から2023年12月31日(日)まで販売。利用期間は、2023年12月10日(日)から2024年1月10日(水)までとなっている。JRの快速・普通列車の普通自由席やBRT等が5回(人)乗り放題(グループ利用可)で、1万2050円。1日当たり2410円となる。1回で1日乗り放題となり、0時を過ぎた最初の駅まで有効だ。ただし、東京・大阪の電車特定区間は、乗車日の終電車まで有効となる。なお、新幹線や在来線の特急列車や私鉄、第三セクターでは利用ができない(一部例外あり)ので注意したい。初めて利用する際は、乗車前に車掌や駅係員に利用可能な列車かを確認しておけば安心だ。

車窓から見える風景も鉄道旅の魅力の一つ(乗車日2022年10月3日)

■おすすめ利用法 その1 まずは気軽に日帰り旅行から

高尾山の場合、高尾駅までは青春18きっぷが有効だ

 「青春18きっぷ」では、1日2410円でJR各線が利用可能だ。長距離移動は無理と思う人は、日帰り旅行から挑戦してみるのはどうだろうか。例えば、東京駅から熱海駅までは普通列車で約2時間、片道1980円となる。青春18きっぷを利用した場合、往復で2410円なので1550円お得となる。JRでは100km未満と大都市近郊区間内のみの普通乗車券では途中下車ができないが、「青春18きっぷ」では可能だ。熱海で温泉に入り、夕食は横浜中華街でディナーという利用もできる。首都圏からだと奥多摩や高尾山、筑波山など、日帰りのアウトドアでの利用も有効だ。

青春18きっぷでは横浜にも行くことができる

■おすすめ利用法 その2 時間がかかるが、ゆっくりと長距離移動

ローカル線を利用すれば、東京から名古屋は6時間ほどの移動となる

 「青春18きっぷ」では東京駅から始発に乗車し、1日いっぱい乗り継いで行くと西は山口県まで2410円で行くことが可能だ。これが東京から名古屋までなら乗り換えや時間帯で多少変わるが、6時間前後で到着する。早朝に東京を出発すれば、お昼過ぎには名古屋に到着。新幹線なら1時間半程の行程だが、富士山や太平洋を車窓から眺めながらの鉄道旅も悪くない。新幹線と比べると時間はかかるが、高速バスと比較すると実は1時間程度しか変わらない。また、年末年始の高速バスは渋滞の影響により遅延が起きやすいので、「青春18きっぷ」を利用する人も多い。大阪ー名古屋間は3時間ほどで移動ができるので、筆者も気軽に利用する区間だ。

ご当地グルメ(味噌煮込みうどん)を食べに、名古屋まで行ってみるのはどうだろうか
大阪へ串カツを食べに行くのもいいだろう

■おすすめ利用法 その3 他の交通機関の旅行と組み合わせる

空港へのアクセスに、青春18きっぷを利用するのは有効だ

 長距離では、全てを「青春18きっぷ」で移動すると時間と体力がかかってしまう。そこで、飛行機が発着する空港までの在来線を「青春18きっぷ」にしてみるのはどうだろうか。

 例えば、東京駅から多くのLCCが発着する成田空港駅は片道1342円(IC利用時)。また、羽田空港利用の場合でも、空港から比較的距離がある埼玉県や東京都多摩地区の人は利用価値が高いだろう。関西でも、関西国際空港と大阪駅では片道1160円となり、伊丹空港利用の場合も奈良県や大阪南部へ行く際のJRで利用可能だ。特に北海道の新千歳空港駅から札幌駅は片道1150円、小樽駅まで行く場合、片道1910円かかるので、利用価値が高い。東京駅から成田空港ー新千歳空港経由で札幌駅へ移動した場合、2502円(IC利用時)となるが、小樽が目的地の場合は、「青春18きっぷ」で利用した方が1000円近く安くなる。また、「青春18きっぷ」だと途中下車も可能なので、道中の気になっているお店やスポットへ立ち寄る際も追加料金が不要だ。

 筆者の場合、帰省の際に空港間の移動で利用する場合もあるが「青春18きっぷ」が1回分残っている際に使用するケースが多い。 

飛行機×青春18きっぷで旅をもっとお手頃に楽しめる