巷では、“キャンプブームの終焉”などという声が聞こえてくる。たしかに風向きが変わったのは、ヒシヒシと感じられる。

 その要因のひとつとして、ここ数年の物価高があるのかもしれない。なにからなにまでが値上がりし、なかでもガソリンの高騰は車移動の多いキャンパーにとっては死活問題だ。給油するたび、諭吉を入れても数人の英世しか返ってこず、寂しい気持ちになってしまう。

 アウトドアメーカーも例外ではなく、ギアの値段は年々上がっている。上げたくて上げているのではないことはわかっているが、キャンプの良さでもあった“手軽に手頃感”が薄れていることは否めない。そうなると一気に財布の紐がきつくなってしまい、キャンプ場への足が遠のいてしまう。だからといって、聞いたことがない格安アウトドアギアに手を出すのは違和感があるし、できることならお目当てのメーカーのもので揃えたい。

 そうなるとリサイクルショップを巡るのも選択肢のひとつだ。近年はアウトドア用品の専門店もあり、メーカーごとの棚ができるほど充実し、すべてのキャンプギアが揃うほどだ。私もたまに覗きには行くが、専門のリサイクルショップよりもおすすめしたいのが、古道具店、骨董市。いまどきの最新キャンプギアはないが、焚き火で使える古き良き道具が超格安で手に入る穴場なのである。

■掴んだら離さない火バサミ

挟み比べると、トングとの違いは一目瞭然

 キャンプシーンにおいて、つい踏んづけてしまうギアの断トツ一番はトングである。地面にそのまま置かれることが多く、暗くなると見えずに踏んでしまう。100円ショップやホームセンターで購入できるトングだと、一度踏まれると嚙み合わせが悪くなり、薪が掴みにくくなってしまう。

 私も安く購入できるので同じものに買い替えるか、それとも高価なトングを買って大切に扱うかで迷っているなか、古道具店の隅に転がっていた火バサミと出合った。

 もともとは火鉢の炭をいじるための道具で、細かい作業ができるように先端に突起がある。これがあることで薪をしっかりとロックでき、太い薪でもずり落ちづに挟める優れもの。金額も300円と安く、タフさも時代を超えてきているのでお墨付きだ。