みなさんは旅へ行くとき、どのような交通手段を利用するだろうか。長距離であれば飛行機、新幹線、深夜に移動するなら夜行バスを使う人も多いだろう。

 では100km程度だとどうか。東京駅からの移動という視点で考えた場合、栃木県の宇都宮、群馬県の高崎、神奈川県の小田原(箱根)、静岡県の熱海といった場所は新幹線で移動することもできるが、かと言って新幹線代を払うような距離かと言われると微妙に感じる人もいるだろう。

 そこでおすすめしたいのが、JR東日本の普通列車のグリーン車での旅である。

首都圏を走る普通列車のグリーン車の座席。各座席にテーブルがついていて、車内で駅弁などを食べることもできる(イメージ)

■新幹線にはない、2階建車両のグリーン車

 グリーン車で旅をするメリットを一言でいうと「安価で新幹線に近い快適性を得られる」ということだ。
JR東日本の普通列車に連結されているグリーン車は普通車とは異なり、足を伸ばせる座席間隔があり、リクライニングもそれなりにしっかりしているので、普通車とは比べものにならないくらい身体的にも快適に過ごすことができる。そして座席が全て進行方向を向いているため、列車の進行方向に背を向けて座ったり、目の前に人が立っているということがないため、心理的にも快適に感じるだろう(もちろん座席を回転させ、家族や友人と向かい合わせで座ることもできる)。

 また各座席にテーブルも付いているので、駅弁などを事前に買って車内で食べることで、旅情を感じることもできる。

 新幹線の場合は普通車でも在来線のグリーン車以上の快適性があるため、新幹線と比べるとさすがに快適性は劣ってしまうが、はるかに安価で快適な旅になるので、プチ贅沢としては非常におすすめである。

 さらに新幹線にはないメリットとして、2階建車両の存在があげられる。2階建車両のある新幹線車両は全て引退してしまった一方、JR東日本の在来線普通列車に連結されているグリーン車は、臨時列車などの一部を除き全て2階建車両である。ちょっと高めの目線から車窓を見る感覚を楽しめるのは、在来線のグリーン車ならではと言えるだろう。

首都圏を走る普通列車のグリーン車の座席。普通車よりも窓の開放感もある(イメージ)

■実際にプチ贅沢をして感じるメリット

 JR東日本の首都圏エリアの在来線普通列車のグリーン車料金は、大きく分けると50kmまでと51km以上の2種類がそれぞれ平日料金とホリデー料金(※)で分かれているだけなのでシンプルで分かりやすい。特に51km以上であればどんなに長距離であっても料金が変わらない(平日は1000円、ホリデーは800円)という点は非常に魅力的だ。

 51km以上に該当する区間、例えば北関東の宇都宮や高崎へ行く場合は主な駅で言えば大宮以南の駅(東京や横浜など)から、南の小田原や熱海へ行く場合は主な駅であれば横浜以北の駅(東京や大宮など)からが該当する。ここで出てきた高崎や宇都宮と小田原や熱海を一本で結ぶ列車も多く走っているので、関東在住者や関東へ旅にきた旅行者は、ぜひ利用してみて欲しい。

※ホリデー料金:土日祝および年末年始(12月29日〜1月3日)