2007年に観光地としてミシュランガイド三つ星を獲得してから、世界各地から年間300万人以上の登山者が訪れる、世界一登山者数が多い山「高尾山」。山内には1300年以上の歴史を誇る「高尾山薬王院」や、おいしい蕎麦や団子が食べられるお店があり魅力たっぷりなのだが、その先に続く「奥高尾」と呼ばれるエリアがあるのをご存知だろうか。 

 奥高尾は高尾山の西に広がる、高尾山から「陣馬山(じんばさん)」までの登山道。高尾山はその知名度やアクセスのしやすさから観光地のような雰囲気だが、奥高尾では静かな山歩きが楽しめる。途中にはいくつかピークがあるが、今回は奥高尾の入門と言われている「小仏城山(こぼとけしろやま)」までのルートを紹介したい。

■高尾山山頂から奥高尾「小仏城山」へ

高尾山山頂から奥高尾へ続く階段

 高尾山から奥高尾へ行くためにはいくつかルートがあるが、今回は高尾山山頂からアクセスできる一つを紹介する。なお、山頂から小仏城山までは片道約1時間の行程だ。

 高尾山山頂南側の「大見晴園地」から西へ少し進むと階段があり、ここから奥高尾へ行くことができる。階段は石造りで急なので慎重に下りよう。

小仏城山まで続く登山道の分岐点
もみじ台北側の巻き道を進んでいく

 階段を降りた先で登山道は3方向へ分岐する。それぞれ小仏城山まで続いており、真ん中がもみじ台を経由する道、両脇は巻き道となる。冬の寒い時期に通るのであれば、進行方向右の北側の巻き道がおすすめ。

一つとして同じ形のものはないシモバシラにできる氷の花
シモバシラのある登山道脇には、植生保護のロープが張られている

 なぜなら、北側の巻き道の脇で「シモバシラ」にできる「氷の花」が見られるからだ。なお、シモバシラは「霜柱」ではなく、シソ科の多年植物のこと。冬の間は地上部は枯れているが、根が生きているため水分を吸い上げる。その水分が茎から吹き出して、冷たい外気に晒され凍ることで氷の芸術が生まれるのだ。

 時期は例年12月中旬から2月頃までだが、1月上旬までは大きいサイズを見ることができる。日が差すと溶けてしまうため、朝の時間帯がおすすめだ。

 注意点は、観察する際にロープの中に立ち入らないこと。美しい「氷の花」を近くで見たい気持ちはわかるが、人が踏んでしまうことでシモバシラや他の植物に深刻なダメージを与えてしまうことを忘れてはいけない。マナーを守って観察しよう。