神奈川県にある丹沢大山国立公園内に位置する大山は、標高1,252mで美しいピラミッド型の山容を誇る。都心からのアクセスが容易で、ケーブルカーで手軽に中腹まで上がれることから、多くの登山者が訪れ、季節ごとに様々な景色を楽しむことができる。

 大山は丹沢山地の東南部に位置し、その地形のために温暖な海風が雲や霧に変わり、雨が降りやすいことから「雨降山」とも呼ばれている。麓では雨が降っていないのに、山頂に近づくと雨や雪が降ることもある。

 筆者が大山を訪れたのは、2022年12月18日(日)で、前日の夜から当日の朝まで雨が降り、山頂に近い登山道から山頂まで一面が雪で覆われていた。この状況下で、空の「青」と雪の「白」のコントラストは、まさに夢のような世界だった。

■ケーブルカーで山の中腹にある阿夫利神社下社へ

ケーブルカーから見える景色(撮影:田口 空)

 大山は標高1,252mにもかかわらず、ケーブルカーを利用すれば標高約700mにある阿夫利神社駅まで簡単にアクセスできるため、初心者の登山者にも人気の山。山麓側の大山ケーブル駅から阿夫利神社駅までの所要時間は約6分で、標高を約300mも一気に稼ぐことができる。

 昨年の12月18日、ケーブルカーからの景色は素晴らしく、紅葉がまだ少し残っていた。阿夫利神社下社に到着すると、いよいよ登山が始まる。

■阿夫利神社下社から富士見台経由で大山山頂へ

大山山頂への登山道と雪だるま(撮影:田口 空)
時折見せる青空と太陽(撮影:田口 空)

 阿夫利神社下社に到着すると、そこは、晴れていれば関東平野、相模湾、江の島、三浦半島まで一望できる絶景スポットだが、この日は残念ながら雲が立ち込めており、ほとんど景色が見えなかった。

 ここから富士見台を経由して、約2時間ほど登れば大山の山頂に到達する。登山道は石や岩、急な階段が多く、雪も少し積もっていた。雪の状況によってはチェーンスパイクの装着が必要となることもあるが、この日の登山道の雪はほとんど溶けており、滑りにくかったため、装着せずに慎重に歩きながら進んだ。景色はほとんど見えなかったが、時折青空と太陽がのぞき、晴れてくることを期待した。