最高峰・平均標高ともに日本一低い都道府県は千葉県であることをご存じだろうか。最高峰は愛宕山(あたごやま)で標高408m、平均標高は45mしかない(お隣の東京都の平均標高は242m)。

 この数字だけを見ると、とてもハイキングができる場所があるとは思えないかもしれないが、千葉県にはいくつもの魅力的なハイキングルートが存在する。今回は千葉県・富津市にかかるハイキングルートを紹介する。

■日本アルプスと比べて、その規模は10分の1! 「房州アルプス」

 言わずもがなではあるが、日本を代表するアルプスと言えば「北アルプス」「中央アルプス」「南アルプス」だろう。だが「アルプス」と名のつくルートは各地に存在する。

 「沼津アルプス」や「甲州アルプス」など日本アルプスと比べ、規模は小さいがいずれも「アルプス」と名が付き、親しまれている。

 今回紹介するのは千葉県にあるアルプス「房州アルプス」だ。房州アルプスは最高峰が無実山(みなしやま)で標高は266m。3,000m級の山々が連なる日本アルプスと比べたら規模は10分の1ほどになるが、魅力の詰まったハイキングルートである。

開けた場所から望む千葉の山並みと集落。のどかな景色を楽しめる(撮影:山歩ヨウスケ)

 温暖な土地である千葉県は雪が降ることは滅多になく、年間を通して歩くことができるが、一番適しているのは間違いなく冬だろう。

 房州アルプスは標高が低いため、6月ごろから9月までは気温が高く、山歩きには適さない。長時間行動する山歩きには気温が高くない時期の方が適している。筆者が訪れたのが1月下旬だったが気温は10℃ほどあり、快適に歩くことができた。

 行動中は汗をかく気候なので、ウエアを脱ぎ着して調節できるようにするといい。

■もみじロードから林道鹿原線を歩き登山口へ

 房州アルプスへの登山口は県道182号線「もみじロード」を経由し、林道鹿原線(りんどうしっぱらせん)を使いアプローチする。マイカーで行くのであれば、もみじロードから林道鹿原線へと入るところに駐車スペースがある。公共交通機関で向かうのであれば、JR内房線・保田駅(ほたえき)からタクシーとなる。

林道鹿原線から房州アルプスへと続く分岐点。左が房州アルプスの登山口(撮影:山歩ヨウスケ)

 林道を30分ほど歩くと登山口となる分岐点に到着する。林道は舗装路だが、ここからは未舗装の登山道となるので、靴紐などはしっかりと締めておきたい。

■勾配の緩やかな山歩きを楽しめる

 登山道に入ると、冬とは思えないような緑豊かな樹林帯が迎えてくれる。冬でも葉を落とさない常緑樹が多いのは千葉県のハイキングルートの魅力と言えるだろう。

常緑樹の樹林帯の中を歩く。起伏が緩やかで歩きやすい(撮影:山歩ヨウスケ)

 登山口から勾配の緩やかな登山道が続き、時おり開けた箇所からは景色を楽しむことができる。晴れていれば、遠くに富士山を望むことも可能だ。

開けた場所から望む景色。小さいが富士山も確認できる(撮影:山歩ヨウスケ)

 房州アルプスは全体を通して起伏が緩やかなので、しばらく山歩きを休んでいた人にとっての足慣らしにも最適だ。