暖冬と言われているが、日本海側を中心とする雪国では発達した寒波が来るたびに大雪のニュースを目にする。発達した低気圧が日本を通過すれば、1日で1mを超える積雪を記録する地域も珍しくない。

 降雪が気になる季節ではあるが、今回は年間を通してハイキングを楽しめる、首都圏で屈指の人気を誇る「高尾山」のハイキングルートを紹介したい。人気の山だけに常に人が多く、訪れるのをためらっている人にこそおすすめのルートだ。

■都心(新宿駅)から1時間。アクセス抜群の高尾山

 高尾山は東京都八王子市にある標高599mの山で、古くから修験道の霊山とされてきた。天狗が存在していたとの伝説をもち、役行者の伝説や修験者らによる大火渡りや滝行で知られる文化財を有する高尾山薬王院(たかおさんやくおういん)が山腹に鎮座している。

高尾山の山頂エリアから都心を望む。多くの観光客やハイカーで賑わう(撮影:山歩ヨウスケ)

 「花の百名山」や「関東百山」、「日本百低山」などに選定され、ミシュラン観光ガイドで三つ星を獲得するなど、日本の山の中で、登山者数は常にトップクラスに入る。

 山頂エリアにはいくつもの茶屋やお土産屋があり、軽食や飲料を購入することができ、ケーブルカーを利用すれば標高462m地点まで昇ることができる。

山頂標識のある場所でも軽食が楽しめ、自動販売機などもある(撮影:山歩ヨウスケ)

■山頂までのマイナールート「6号路」は穴場! 静かな山歩きの他にも見どころが多い

 人気の高尾山は麓の高尾山口から徒歩で山頂を目指すルートは3本あるが、メインで使われるのが1号路だ。観光客でも賑わう人気のルートなので、1号路を避け、6号路で山頂を目指すと静かな山歩きを楽しめる。

ケーブルカーの線路脇を通り、6号路の入り口を目指す。タイミングがあえばケーブルカーが見える(撮影:山歩ヨウスケ)

 6号路は沢沿いの整備された登山道で、静かだが見どころがある。高尾山口駅から20分ほど歩いたところで登山道の対岸に鎮座しているのが「岩屋大師(いわやだいし)」だ。

 その昔、弘法大師が高尾山を登拝した際に、嵐の中を歩く病の母親と娘の親子に出会い、そこでお祈りを捧げたところ、現れたのがこの洞穴。親子はここで嵐をやり過ごせたという伝説が残っている。

岩屋大師の洞穴、中には弘法大師(こうぼうだいし)が祀られている(撮影:山歩ヨウスケ)

 岩屋大師からすぐに「琵琶滝」も6号路の見どころだ。お坊さんが悟りを開くための修行の場とされていたのが琵琶滝である。滝の音が楽器「琵琶」の音色のように美しかったことが由来とされており、八王子八十八景のひとつに選定されている。

登山道から見る琵琶滝。静かな山の中にひっそりと佇む(撮影:山歩ヨウスケ)

 6号路は山頂までは1時間20分ほど。登山道に入ってからは登りが続くが、急登はなく、テンポよく歩ける。

6号路の木道。階段が続くが木道は歩きやすい(撮影:山歩ヨウスケ)

 岩屋大師、琵琶滝を経て大山橋を過ぎ、しばらくすると木道の階段が現れ、その階段を登りきるとじきに5号路と合流する。5号路に合流してからは5分ほどあれば山頂に到着できる。