御岳山登山といえば、ロックガーデンへのハイキングや大岳山への縦走などのように、ケーブルカーに乗ることを前提にしていることが多い。

 しかし、ケーブルカーに乗らないで表参道を利用した御岳山登山も実に魅力にあふれている。

 今回は御岳山登山をまさに足元から見直すためにも、ケーブルカーの麓側である滝本駅付近から始まる武蔵御嶽神社表参道コースを紹介する。

■登り始めは急坂の連続! 武蔵御嶽神社表参道とは

舗装されている武蔵御嶽神社表参道(撮影:瀧澤伸夫)

 武蔵御嶽神社の表参道はすべての区間が舗装されていて、ケーブルカー滝本駅付近から御岳山の御師集落まで続く。表参道の登り始めは急坂が続くが、中間地点にある標柱「おおまがり」付近で勾配が緩やかになる。

急坂が続く武蔵御嶽神社表参道の登り始め(撮影:瀧澤伸夫)

 御岳山登山で利用する登山道ではあるが、舗装されていて一般的な登山でイメージされるような山道ではない。岩肌や木の根の上を通ることもなく物足りないと感じる人がいるのも事実。そのため、ケーブルカーに乗って御岳山から大岳山・日の出山への縦走や、ロックガーデンへのハイキングを楽しむ人も多い。

 なお、この表参道は車も通る「十里木御嶽停車場線」という東京都道でもある。一般車は通行できないため通行量は少ないが、利用するときは車の往来に十分注意してほしい。

■魅力その1  樹齢300年以上のスギがなんと600本以上!

武蔵御嶽神社表参道のスタート地点にある「滝本の大スギ」(撮影:瀧澤伸夫)

 表参道の魅力その1は、道沿いに続くたくさんのスギの大木。スタート地点にある青梅市天然記念物の「滝本の大スギ」をはじめとして、スギの大木が参道の終わりまでそびえ立っている。巨木好きには魅力的な登山道だ!

武蔵御嶽神社表参道の両脇にそびえ立つスギの大木(撮影:瀧澤伸夫)

 表参道沿いにそびえ立つたくさんのスギの大木も、「御嶽神社参道の杉並木」という青梅市の天然記念物。江戸時代の初期に整備されたと伝えられている。

数人が入れそうな武蔵御嶽神社表参道のスギ(撮影:瀧澤伸夫)

 驚くべきは幹回りが約6m以上・樹齢300年以上と推定されるスギの巨木が、この表参道に600本以上確認されているという事実。根が盛り上がり、数人がビバークできそうなスギの巨木もある。

■魅力その2  古の息吹を感じる標柱が! 気分は江戸時代!?

武蔵御嶽神社表参道の標柱「おおまがり」(撮影:瀧澤伸夫)

 表参道の魅力その2は、昔の表参道の様子を伝える標柱。標柱は表参道のいたるところに立てられていて、ケーブルカーが開通していなかった頃の参拝者の苦労がうかがい知れる。

武蔵御嶽神社表参道の標柱「だんごどう」(撮影:瀧澤伸夫)

 表参道の傾斜が緩やかになり参拝者が安堵した「おおまがり」や、地蔵に団子をお供えした「だんごどう」など、様々な標柱がある。歴史のロマンに浸りたい人には、たまらない空間だろう。

武蔵御嶽神社表参道の標柱「なかみせ」の解説版(撮影:瀧澤伸夫)

 以前あった茶店を伝える「なかみせ」という標柱もある。表参道を登り疲れた参拝者でにぎわっていた古(いにしえ)の様子が目に浮かぶ。