【前編】川下り後に川原を掘って温泉に入れる「夢みたいな大塔川」は10月が狙い目!

 世界遺産の川「熊野川」に流れ込む、美しき大塔川。透き通るような清流の脇には「川底を掘れば湧く温泉」こと川湯温泉が待ち受けている。ダイナミックなマイ露天風呂を堪能し、周辺の観光や他の魅力的な数々の温泉も楽しむ、贅沢な川旅の楽しみ方をお伝えしよう。

■川底を掘れば、そこは自分だけの露天風呂

 和歌山県・川湯温泉の温泉街周辺に、この川の最大の魅力が眠っている。実は川湯温泉脇の川原は、「川湯温泉」の名の通り、川を掘れば70℃以上の源泉が湧き出てくるようになっているのだ。

 ちょうどいい深さの湯船を作り、川の水を引き入れて温度調節すれば、清流と同じ目線でオリジナルのマイ露天温泉を堪能できる。川下りと組み合わせれば、こんな夢のようなゴール体験ができてしまうのが大塔川の川旅の魅了だ。スコップなどを持参すると、より掘りやすい。

美しい大塔川の流れ。透明すぎて川底の石一つひとつが丸見え

 さらにこの川湯温泉、12月から翌年2月までの冬季には、川全体をせき止めて作る「仙人風呂」が楽しめる。長さ28m、幅12m、深さ60cmの大露天風呂(年によってサイズは変わる)は、おそらくここでしか味わえない特別な体験となるだろう。

エリアの名物グルメは、めはりすし。高菜の葉の浅漬けでご飯を包んだもの

■川湯温泉をベースに周辺を観光してみよう

 川湯温泉の旅館や田辺川湯キャンプ場をベースに、大塔川の川下り、釣り、熊野古道ハイクや、周辺観光を絡めると面白い川旅になるだろう。まずはなんといっても世界遺産「熊野本宮大社」は外せないところだ。

全国4700社以上ある熊野神社の総本宮

 外せないと言っておきながらなんだが、実は僕はまだ参拝したことがない。どうせ行くなら、ちゃんと熊野古道経由で歩いて参拝したいと思っているので、楽しみに取っておいているのだ。もちろん、こだわりがなければ車でサクッと行ける場所なので、ぜひ足を運んでみてもらいたい。

 大社周辺には熊野の歴史・文化を学べる和歌山県世界遺産センターがあったり、さまざまな食堂やゲストハウスがあるので、こちらを起点として大塔川を楽しむのもありだと思う。

導きの神・八咫烏(やたがらす)は熊野大社の主祭神。サッカー日本代表のシンボルにも使われている